YYamada

96時間のYYamadaのレビュー・感想・評価

96時間(2008年製作の映画)
3.8
【アクション映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 心理描写より外面的な動作を重視
 ○: 格闘・戦闘を解決の糸口とする

◆作品名:
96時間 (2008)
◆アクション映画のジャンル
現代劇 / 誘拐された娘の奪還
◆類似作品
・ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
・ランボー/ラスト・ブラッド

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・17歳のアメリカ人少女キムが、友人と訪れていたパリで何者かに誘拐された。事件発生時にキムと携帯電話で話していた父親のブライアンは、元秘密工作員の知識と行動力で犯人グループの身元を割り出し、娘を救出するために単身パリへ。
・誘拐事件の被害者が無事でいられると考えられる96時間をタイムリミットに、誘拐犯とされる人身売買組織へ潜入する…。

〈見処〉
①父の愛が、パリの街を暴走する――
・『96時間』(原題: Taken)は、2008年にフランス・アメリカ合作で製作されたアクション・サスペンス。

お前が誰だか知らないし、何が欲しいのかも知らない。身代金が目当てなら俺には金はない。だが俺には長年のキャリアの中で手にしたスキルがある。今すぐ娘を解放するなら、もう済んだことだ。貴様らを探しはしないし、追いかけもしない。だが、もし解放しないなら、貴様らを探し、見つけ、そして殺す……。

・『トランスポーター』『TAXi』を手掛けたリュック・ベッソンが製作・脚本を務めた本作は、主演のリーアム・ニーソンが演じる元CIA工作員のブライアン・ミルズが、娘を取り戻すためなら手段を選ばない豪快なアクション・シーンにより、世界中で大ヒットを記録。約25億円の製作費の10.6倍にあたる全世界興行収入226億円を記録している。
・共演は『X-メン』シリーズのファムケ・ヤンセン、『ジェイン・オースティンの読書会』のマギー・グレイス。
・本作はのちにシリーズ化され、『96時間/リベンジ』(2012)、『96時間/レクイエム』(2014)の映画3部作に加え、2017年~18年には、米NBCにて若き日のブライアン・ミルズを描いたTVドラマ『Taken』(邦題: 96時間 ザ・シリーズ)が製作された。

②リーアム・ニーソン
・1952年に北アイルランドにて産まれ、192cmの体躯を誇る、本作主演俳優リーアム・ニーソン。
・「無名のキャスト」「善悪を持ち合わせた男の葛藤を演じられる人物」として、
41歳の時に主演に抜擢された、スティーブン・スピルバーグ監督作品『シンドラーのリスト』(1993)にて、アカデミー主演男優賞にノミネートされ、国際的な認知を広げる。
・続く『マイケル・コリンズ』(1996)にて、ヴェネツィア国際映画祭 男優賞を受賞した、リーアム・ニーソンは、演技派として地位を確立していくが、1999年公開の『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』ではジェダイマスターのクワイ=ガン・ジンを演じ、ブロックバスター作品の主演も務めている。
・そして、本作主演のオファーを受けた56歳のニーソンは、本作の興行的な失敗を予想しつつ「パリに4か月滞在」「空手を学べる」提案を受け入れ、不死身のアクション・ヒーローという新境地を切り開くことになった。2015年、スパイクテレビ主催の「最もタフな男」賞を受賞している。

③結び…本作の見処は?
◎:93分の上映時間のなかに「娘の救出」と「人身売買組織の壊滅」という勧善懲悪のシンプルなストーリーを凝縮。とにかくテンポが良く、とても見やすい。
◎: 思春期の娘とのコミュニケーションギャップに悩む中年男性が実は最強の元工作員だった…。舐めてた相手がターミネーターみたいに強かった「ナーメテーター」ジャンル映画の代名詞として、爽快感が溢れる。
▲:優れた脚本に対し「パリ市街の風景描写に乏しい」「白のSUVだけのカーチェイスでは、どの車が逃走しているのかさっぱりわからない」など、演出面では改善余地あり。
▲: 作中で語られる「誘拐事件の被害者が無事でいられると考えられる猶予期間」から、日本の配給会社がネーミングした邦題。まさかのヒットシリーズとなってしまい、後々タイトルに苦労することになるのは、「ワイルドスピード」と同じであるが、2作目以降は、なぜ「96時間」なのかさっぱりわからない。
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