ヴェトリマーランが監督兼プロデューサー、ダヌシュもプロデューサーとしてクレジット。
アカデミー賞やヴェネツィア映画祭にも出品された作品。
実話を基にした小説を基にしてるけど、後半は他の色んな事件を取り入れたフィクションらしい。
ヴェトリマーランは最近スペボさんで自主上映された「Viduthalai」でも警察の腐敗を描いてたけど、こちらも凄まじい。
主人公のパンディ含む青年たちはタミルの不可触民。
テルグ語圏のアンドラプラデーシュ州に出稼ぎに来た労働者。
官僚の家に入った強盗の冤罪を着せられ、自白強要のために凄惨な拷問を受ける。
前半はIDEで上映された「ジャイビーム」のデジャヴかと思うほど似てる。
あちらも実話を基にしてるし。
時折アメをもらって素直に喜んでるムルガンがもうバカなんだけど、素直すぎて何か可愛いんですよね。
もうひとつの軸として「RRR」のサムドラカニさん演じるタミル人の警察官が描かれるんだけど、この2つの事件の交差する構成が上手すぎる。
上手すぎるだけに、もう胸がかきむしられるほどにもどかしいし、胸糞でもある。
エンドロールでも書かれてるし、とにかく色んなインド映画でも描かれてるけど、警察の自白強要は未だに蔓延っているという。
そして警察の賄賂文化。
いや、警察に限らずインドの賄賂文化はもう生活に根付いてる。
更に警察のエンカウンター(偽装襲撃)問題。
警察が犯人に襲撃されたと偽装して、犯人を射殺すること。
「ヴィクラムとヴェーダ」や「スルターン」など、これまた多くのインド映画で描かれてるし、それだけ多くのエンカウンターが行われているそうな。
こういった多くの社会問題が詰め込まれてるにも関わらず、映画としての見応えが保たれてるのはさすがインド映画。
スター俳優は出てないけど、それぞれのキャスティングやら演技も真に迫ってるから惹き込まれる。
やはり南インド映画は最高です。