ナツミオ

エジソンズ・ゲームのナツミオのレビュー・感想・評価

エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)
3.5
WOWOW録画鑑賞
1880年代の電力事業黎明時にトーマス・エジソンとカリスマ実業家ジョージ・ウェスティングハウスの間で繰り広げられた電流戦争を描いた伝記・実録ドラマ。

現代アメリカに名を連ねる大企業の名前も出てきて興味深い作品。

原題『Current War』

2019年米作品
監督 アルフォンス・ゴメス=レホン
脚本 マイケル・ミトニック
製作総指揮 マーティン・スコセッシ スティーヴン・ザイリアン ベネディクト・カンバーバッチ
出演 ベネディクト・カンバーバッチ マイケル・シャノン ニコラス・ホルト トム・ホランド キャサリー・ウォーターストン

(WOWOW作品内容より)
電気の発明により、新時代を迎えようとしていた19世紀後半のアメリカ。
1882年、エジソン(カンバーバッチ)は、自ら発明した電球を電気で光らせることに成功。しかし、実業家のウェスティングハウス(シャノン)は、大量の発電機が必要なエジソンの直流送電方式よりも、交流送電方式の方が優れていると主張。その実演会を成功させて、エジソンを激怒させることに。
かくして2人の間で熾烈な電流戦争が始まる。

カンバーバッチ演じるエジソンの変人ぶりは、『イミテーション・ゲーム』でのアラン・チューリング役を彷彿とさせる。この人は癖のある主人公役が良く似合う。

相手の実業家、発明家でもあるウェスティングハウス役シャノンは、対照的に誠実な人柄を演じて良い対比となっている。
加えてウェスティングハウスと手を組む、ホルト演じる移民の天才技術者ニコラ・テスラの苦労も描かれる。

『電流戦争』という言葉を初めて聞いたが、途中、80年代VTR普及時のベータvsVHSの様な規格化の闘いを連想したが、次元の違うもっと規模の大きい、莫大な利権も絡む争いであった。
確かに、電気のインフラ整備、それにより工場設備の動力が人力・蒸気から電気に変わる事は産業革命に近い変化。

この利権に実業家J・P・モルガンや投資家、出資者、政治家、軍人、果ては国の死刑方式変更の役人まで関わる。
死刑が絞首刑から電気椅子に変わるところは、『グリーン・マイル』での電気椅子のシーンを思わせるが、こちらは残虐な描写は無い。

現在や近年まで続いた米大企業名がゾロゾロ出てくるのも興味深い。先のエジソンへ出資したJPモルガン、エジソン・エレクトリックから社名が変わったゼネラル・エレクトリック(GE)、近年東芝に買収された原子力企業ウェスティングハウス、電気自動車の雄テスラ・モーターは、テスラの子孫が関係しているのかなと思ったらニコラス・テスラに因んで付けられた。

エジソンが発明した白熱電球は、取り付けネジは当時の特許であったのも面白い。
この電球のフィラメント(発光体)部に日本の京都・八幡の竹が使われ長時間の点灯が可能になったのは有名な話。

電気戦争の終結後、エジソンの発明したキネトスコープは映画の原型となるエピソードも描かれている。
後に、リュミエール兄弟と並んで「映画の父」と呼ばれる。

今は電気が無ければ日常生活は成り立たないが、こうした先人たちの発明や苦労も知ることが出来、楽しんで観る事が出来た作品。
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