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エジソンズ・ゲームのcookieのネタバレレビュー・内容・結末

エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

1880年代に繰り広げられた送電方式バトルを描いた伝記ドラマ(inspired by the true story)。
つまり、交流 VS 直流(←AC/DC🎸 w)の電流戦争。
(原題:The Current War)
子供の頃伝記で読んだ「偉人」としてのエジソンとは違う部分が見え、文系脳の私でも、とても惹き込まれた。

「天才科学者 エジソン VS 天才実業家 ウェスティングハウス」に、テスラやJPモルガン等も絡んでくる。
テスラの移民としての苦悩も描かれている。

妻への「アヘンチンキ」の処方で、その容態が推察できる。研究に没頭し家族との約束も後回しにしていたが、「点字用辞書を作ろう」となるのはエジソンらしい。
人間性の部分で彼を補っていた妻は、彼の一番の理解者だった。蓄音機で再生される声を聞くエジソン。

支えとなったもう一人の人物 青年秘書サミュエル。重苦しい雰囲気漂う中、爽やかさを感じさせる、私の好きな登場人物。
 
一番の見せ場は1893年のシカゴ万博。
電気が供給される点灯の瞬間を今か今かと待つ人々の表情と、初の電気椅子での死刑が執行される瞬間。美しい音楽とキラキラした高揚感とのハーモニーで、エジソンの発明の光と闇を同時に見せるシーンだ。
「人を殺すような発明はしたくない」エジソンにとっては、皮肉な現実だった。

発明王としてその顔と名を広く知られているエジソンと、成功者で人望も厚いが知名度は低いウェスティングハウス。
生き方の違う二人が、最後は「トーマス」「ジョージ」と呼び合うところがいい。

映画の第一歩とも言われる「キネトスコープ」もエジソンの発明品。
ラストに映る連続写真はそれを意味していると同時に、エジソンの動物実験による多くの犠牲の上に、今私達が便利に暮らせていることを表しているように見えた。

【notes】
●モールス信号での家族とのやり取り
●エジソンが仕掛けるネガティブキャンペーン
●ウェスティングハウスの夢の中で何度も出てくるシーン。人徳者と言われる彼の、誰にも言えない過去?生きるためには100%善人ではいられない、彼も生身の人間だということを示しているように思えた。
●エジソンの会社が吸収合併され、エジソン・ゼネラル・エレクトリックに。さらに吸収合併されゼネラル・エレクトリックに。
●本作はディレクターズカット版。
劇中だけでなく、現実の映画編集においても利害関係のゴタゴタがあったようだ。
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