父親の虐待から離散した３人の兄弟が、町の権力者だった父親の死を切欠に土地の利権を巡って争う閉鎖的で鬱屈とした地方都市の物語です。
成人となりそれぞれの社会的立場が異なった３人が、表と裏の社会の歪みを行き来します。それらを表現するため「政党派閥」「アウトレットモール」「風俗ビジネス」「移民（中国人）」「錆びたナイフ」らの多岐に渡るコンテンツにより物語は構成されています。
「ビジランテ」とは「自警団」を意味し、３人の男たちがそれぞれの人生を守るために迫られる決断をどう生きるのか、が本筋です。ほどよく行間もあり、観る側によって多様な捉え方ができます。
配役も良く、常に広がる曇天が作品の雰囲気と調和されていますが、前述したそれらのコンテンツが尺に収まらず、全体的にごちゃごちゃしてごちゃごちゃしたまま終演を迎えた印象です。
これを観るなら「アウトレイジ」をお薦めします。
