悪魔の毒々クチビル

ワイルド・スピード/ファイヤーブーストの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

4.0
「すぐに見つけ出してやるさ、クソ野郎」

ワイスピファミリー物語が最終章へ向かうお話。


観てはいるけど予習はしないので、毎回「何でこうなってんだっけ?」と何処かしらで思ってしまうワイスピシリーズの最新作。
前作はかなりイマイチでこのシリーズももう良いかな…と思いましたが、最後の最後にステイサム参戦ってなってしまったら一応観ちゃうよね。

いつからか展開や描写のツッコミ処を全く気にしなくなった代わりに、じわじわと豪華キャストを追加していって良くも悪くも強引に見栄えだけをよくするやり方が遂に極まった感じです。
あれだけでっかい爆弾が街中転がってローマを半壊させたのに死傷者ゼロ!?でもシャーリーズ・セロンがいるから良いや!!
序盤でまだ小さい息子に車を運転させるドミニクさん…でもジェイソン・ステイサムがいるから良いよね!!

今回改めて思ったのはドミニク達が一番信用しているのって、家族よりも車なんじゃね?ってこと。
だってよっぽど信頼していなきゃ、ジャンプしてクレーン車にぶつかって軌道逸らしたりダム下ろうとか言う発想に至らない訳ですからね。

前作同様、アクションシーンは見辛いという欠点はそのままですが、今回の方がまだマシだったかとは思います。
ジョン・シナの登場シーンはThe・脳筋キャラって感じで上がりましたしシャーリーズ・セロンの格闘は格好良かったし、出番は少な目ながらやはりステイサムが出ると一気に場が引き締まるなぁと。
次回はヴァネッサ・カーヴィーやルーク・エヴァンスも出て欲しい。
と言うか「エクスペンダブルズ4」っていつ公開するの?アメリカでは9月からって事なのに未だに予告の一つもないんですけど。
早くスクリーンでイコさんを観たいんですけど。

今回のヴィランはジェイソン・モモア。
「実はあの時いました」な後付け追加キャラとは思えないくらい存在感のあるキャラで、ノリノリで狂っている様子が良かったです。
死体と会話するくだりとか好き。
まぁ相手が錚々たる面子なせいか、アクションは序盤ちょっとのみでその後は運転するかスイッチ押すくらいしかしていなかったのに、あれだけの脅威になるんだから科学の力ってスゲー!

そう言えば「ザ・スーサイドスクワッド」からダニエラ・メルシオールだけでなくピート・デヴィッドソンも出ていて、あの時とあんま変わらないルックスで相変わらずケチな裏切りキャラを演じていました。

確実に前作よりも好きなんだけど、内容にはイマイチ入り込めないと言うか前々から後付けやらやっぱ生きてました、からの統合性の為に他のキャラを雑に退場させたりとか逆に仲間入りさせたりとか、シリーズ存続への延命措置が流石に節操無さすぎだろとは思っているので登場人物のエモーショナルな描写に全くノレないんですよね。
それこそ豪華キャストが沢山拝める只のお祭り映画であり、それ以上でも以下でもないです。
今作はマーベルで言う所の「インフィニティ・ウォー」的な立ち位置で今作のみで完結はしませんが、それを踏まえてもちょっと終わりが中途半端だったなとは思いました。
でもポストクレジットの存在やキャスト的にはもうアメコミ映画よりアメコミ映画してるんだよな。

因みに後半でリトルB君がジェイコブの改造車でミサイル発射して追手を撃墜する場面があったけど、これだけの大衆映画で子どもがノリノリで人をミサイルで撃ち殺すなんて攻めたシーンがあると思わなかったので結構びっくりしましたよ。

過去最高に面子が豪華なだけのワイスピでしたが、だからこそ観た甲斐はありました。
過去の映像とは言えポール・ウォーカーが観られたのも嬉しかったです。
ただ本来二部作で終わりのつもりが、つい最近三部作にしようみたいな流れになったっぽいけどさすがにダレるから完結編2時間半とかにしてきっちり終わらせた方が良いとは思います。