ぶみ

ワイルド・スピード/ファイヤーブーストのぶみのレビュー・感想・評価

4.0
最後への道が始まる。

ルイ・レテリエ監督、ヴィン・ディーゼル主演、『ワイルド・スピード』シリーズ十作目となるアクション。
かつてブラジルで倒した麻薬王レイエスの息子ダンテから、復讐を受ける主人公ドミニク等の姿を描く。
ドミニク演じるディーゼル始め、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、ジョーダナ・ブリュースター、ナタリー・エマニュエル、サン・カンといったお馴染みのファミリーはもとより、前作で対立したドミニクの弟役として登場したジョン・シナやジェイソン・ステイサム、ヘレン・ミレン、シャーリーズ・セロン、スコット・イーストウッドに加え、本作品の新たな出演者として、ダンテを演じるジェイソン・モモア、行方不明となっているミスター・ノーバディの娘としてブリー・ラーソンが登場と、回を重ねるにつれ、輪をかけて豪華なキャストとなっている。
何より本作品での悪役となるモモアのサイコパスがかったヒールっぷりは、過去最高と言えるもの。
加えて、亡きポール・ウォーカーの娘、メドゥ・ウォーカーがキャビンアテンダント役で登場していたのは見逃せないポイントであるとともに、エレナの妹役を演じたダニエラ・メルシオールが広瀬アリスにしか見えなかったのは私だけか。
物語は、近年のシリーズ同様、ファミリーを全面に打ち出しており、なおかつ世界を股にかけるという舞台設定も変わらずで、ある意味安心して観ていられる内容。
本作品では、『トランスポーター』シリーズや『グランド・イリュージョン』の監督であるレテリエが、シリーズ初メガホンを取っており、流石に前作で宇宙にまで飛び出したのはやり過ぎと感じたか、比較的、足が地についた展開となっている。
また、セロン演じるサイファーが乗っていたクルマが、時代らしくEVであるデロリアン・アルファ5であったことや、ダットサン・240Zが本来のL24エンジンから、日産・スカイラインGT-Rに積まれていたRB26にスワップされていたのは、クルマ好きの心をくすぐられるところ。
物語としては、本編と同時に進行していくドミニクの息子リトル・Bと、叔父にあたるシナ演じるジェイコブとの逃走劇が、思いのほか熱き展開を見せてくれており、ややもすると、薄っぺらな内容になってしまうところを補ってくれている。
シリーズ最終章の導入として、これ以上ない仕上がりであり、通常のスクリーンであっても、重低音が腹に響いてくる良作。

90年代は5リッターの車が男の勲章だ。
ぶみ

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