なお

ワイルド・スピード/ファイヤーブーストのなおのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「ワイルド・スピード」シリーズ、記念すべき第10作。

邦題「ファイヤーブースト」の名に恥じぬ爆破・爆炎・爆裂シーンのオンパレード。
記念すべき第10作にふさわしいシリーズ史上最大のド派手な演出を組み込んだ影響か、「制作費が高額な映画ランキング」にて、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』に次ぐ第8位にランクインしている。

✏️X
自分と同じくワイスピシリーズを追いかけている友人との会話…
友「新作の敵ってレイエスの息子らしいよ」
僕「レイエスって誰?」
友「思い出せんけど、あのデカい金庫を引きずってたやつ」
僕「ああ…『EURO MISSION』だっけ?」

違います。『MEGA MAX』です。

もう誰がどの作品のボスだったかなんてうろ覚えになるくらい続いている当シリーズ。
そりゃそうだ。だって第1作から数えればもう22年もの月日が経っているんだから。

そんな20余年続いたシリーズ「ワイスピ・サーガ」もいよいよ終結、そして”集結”へと向かおうとする潮流を感じさせてくれた本作。

序盤からこれでもかと、ポール・ウォーカーの過去映像を多用しているあたりからそんなことをひしひしと感じる。
彼は”現役を退いた”今もファミリーの一員だ。

20年前はチョッとしたトラック強盗をやっていたのが懐かしく、そして可愛く思えるレベルで、本作もファミリーは文字通り世界を股にかけ戦う。

本作でドミニク始めとするファミリーに立ちはだかるはシリーズ最強の敵、ダンテ・レイエス(ジェイソン・モモア)。

人命軽視はもちろんのこと、ドミニクへの復讐を果たすためなら手段を厭わない残忍さを持ち合わせているし、髪をかわいく結んで(死体と)プールサイドで楽しげに談笑を交わすシーンは実にクレイジー、狂気の沙汰。

ドミニクたちの二手三手先を行く練り上げられた作戦と、恐れを知らぬクレイジーな精神力。
もう今までの作品のボスたちが霞むくらいに強烈な”ヴィランっぷり”を放ってくれていて、非常にシリーズのクライマックスにふさわしい悪役。

本作の邦題「ファイヤーブースト」の名を体現するかのごとく、彼の作戦は人の命を一瞬にして、そして大量に奪うことが可能な「爆弾」を用いたものがメイン。

ドミニクの強みにして最大の弱点でもあるファミリーの存在。
その存在をまとめて消し去ることが可能な「爆弾」を前に、いかに窮地を潜り抜けるか…?
その一進一退を楽しむのが本作の醍醐味。

そんなクレイジーな悪役の魔の手に苦戦する”家長”を救うべく、世界の様々な地点で集結するファミリーたちの姿も見どころ。

特に、デッカード・ショウことジェイソン・ステイサム。
外伝的作品『スーパーコンボ』以来の彼の本格的なアクションシーンはめっちゃ感動した。

✏️クリフハンガー
本作で賛否分かれそうなのが、かのクリフハンガー的ラストシーン。

前述の通り、本作はドミニクを中心としたいくつかのチームが散り散りになり、それぞれのチームが世界各国で任務を遂行する…というある種の群像劇的映画でもあるのだが、やはり基本的にドミニクが中心の物語であり、その他のファミリーが活躍する印象的なシーンというものは希薄。

恐らくこの「ドミニク以外の人物の出番の少なさ」は狙ったもの、つまり「続編ありき」であることは容易に想像できるのだが、このような演出を得意としない方が一定数いるのは事実。

自分などは上映から2時間くらい経過したあたりで
「ああ、これはもしかしたら…」とある種の予想をしていたのだが、基本的に”1作品完結”であった過去のシリーズ展開を考えるとかなり「思い切った戦略」であると言わざるを得ない。

実際、次回作の公開は2025年になると予告されており、既に第12作目の制作も示唆されているという。

「あのピンチの場面からどうなるんだろう…!ワクワク…!」
なのか
「また2年も待たなきゃいけないのォ~…」
なのか。

個人的にあのラストは「賛」寄りの立場ではある。
たった1作品で打倒するにはもったいない悪役だと思うので。

ただ自分のように気長に待っていられる人がどれだけいるだろう。
「まあ、年内には公開してほしいよね笑」
そんなようなことを、上映終了後にパートナーに話していたサラリーマンの姿が非常に印象に残る幕切れだった。

☑️まとめ
「X」。
ローマ数字で「10」を表す記号でもあるし、「運命の交差点」そんな暗示をこちらに知らせてくれる記号にも思えた。

前情報が正しければ、壮大なワイスピ・サーガも残り2作で終幕。
とりあえず次回作ではステイサムの出番をもっと増やしてくれればそれでいいです。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★★

🎬2023年鑑賞数:58(26)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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