YukiSano

ワイルド・スピード/ファイヤーブーストのYukiSanoのレビュー・感想・評価

3.9
スーパーインフレ映画、原点回帰。
そして監督なんていらない映画の爆誕。

正直、ブライアンのいないシリーズになってからクソB級映画でもやらないネタばかり連発してスケールアップと反比例して知能指数ゼロにマッハで近づいていたのに、ついに臨界点を突破したのか、シリーズ常連の監督さえクビにして雇われ監督ルイ・レテリエでやった本作は何故か、バランス良く感じた。

何も深みも味もないのだが、ファンが見たい映像とキャラクターの活躍だけが延々と羅列されていく。しかし、これが今のワイルドスピードにはちょうどよく感じる。

多すぎるキャラクターにピッタリの配分で見せ場を作り、過去の説明もさり気なく入れて、アベンジャーズ並みのバランス感覚でまとめられている。意外と凄いと思う。

本当の舞台裏は分からないが、このシリーズには変な作家性なんか全く何も入れずにやる方が良いのは明白。ルイ・レテリエの無個性で雑な感じもGOOD。所々マイケル・ベイみたいなショットもバカ度アップでナイス。

ジョン・シナも前作の渋さがなくなりピースメーカーにしか見えないのも良い。シャーリズ・セロンもフュリオサが仲間になったみたいな雰囲気。

脇を様々な名優が固めてるのに、とことん大仰なのが潔い。ブリー・ラーソンである必要が全く無いけど、それで良い。

最後にあの人たち復活で、とにかくワイルドスピード アベンジャーズが勢揃い。

脂身しかないようなステーキなのだが、今回は焼き加減が丁度良かった。

ここまでファン向けムービーだと監督なんていてもいなくても成立するかもしれないという恐ろしい所に到達する。これはボヘミアンラプソディでも感じた映画芸術の全否定かのようにも思えるが、それでも成立するという矛盾に目を向けて楽しみたい。
YukiSano

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