ふじこ

移動都市/モータル・エンジンのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

面白さが終盤につれ下がっていくけれども、始まりの巨大な建物が動く!そして更に巨大な移動都市に食われる!と言う辺りでかなりワクワクして興奮したのでそちらの点。

西暦3118年(少なくともそれ以降)、戦争によって滅びかけた世界で、都市は人々を乗せて自走を繰り返し生き延びていた。幾つかが集まって小さな街を形成し人々の生活を支える交易を行ったりしているが、そこに数倍以上もの大きさの都市が攻めてくる。
捕食都市と呼ばれるどれよりも大きな都市はロンドンらしい。
どんな動力で何を燃料に動かしているのか分からないけれど、最初のそこそこの大きさの建物でも重量に比べて素晴らしい加速。もうこれゲームじゃん…!
そしてその重量に見合うかなりの深さの轍。これロンドン走った後はもう小型の都市は走れなくない…?
燃料燃やして移動して他の都市を食った処で、ロンドン自体にもかなりの人を積んでおり更に他の都市の人間も労働力として使役し殺害している余数はない…。絶対食料足りなくなるよね。どうやって生活しているのか、その辺の詳しい事が分からなくて残念だった、すごく興味深いのに。

そこにあえて捕まった少女ヘスター、マフラーで隠した顔には大きな傷があり、その敵としてロンドンの権威を手にする男サディアスの腹を突き刺すも、駆けつけた歴史学者トムに邪魔をされ逃げ出す事に。
ここから、ヘスターの復讐、サディアスの野心、サディアスの娘の疑念、格好良い女アナ・ファング、ヘスターを追うシュライクと、色々あって野望を粉砕するお話。

冒頭の巨大な都市が蠢いて動物のように弱肉協力の世界を描く辺りがピークで、そこからの見所は動くロンドン、スパイダーレッグの監獄、空中に浮かんだ移動都市、巨大なダムのような壁で隔てられた反移動都市連盟。
つまり移動するしないに関わらず建物のみ。格好良いんだ。是非乗りたい。

原作は未読なので、シュライクが執拗にヘスターを追うシーンも掘り下げがなく、一緒に機械になるって言ったのに!嘘つき!だけが動機で…なんかまぁアッサリ諦めたわね…って感じで無念。これなら別にいらなかったような気すらする。

他の沢山の人が書いているように、ロンドンを打ち破るのはここまで良い所ゼロでイライラしたトムがスターウォーズを思わせる(まんま)動きで動力源を撃ち抜いて衝突を避ける。
トムはもうほんと、顔からして好きじゃないから何かの間違いで死んだりしないかな…?とも思っていたけど基本王道中の王道だからそんな事はなかった。
迫りくるロンドンに先にブチかまそう、って話をしてる時も そんな!罪のない一般人まで!みたいな事言うけど、ずーーーっとロンドンの上層に住んでる奴らは特に やっちまえ~ってなってるんだよね…。侵略自体に賛成している時点で無実ではないんだよなあ。侵略される側からしたらロンドンそのものが悪だろがい。

侵略されている反移動都市連盟の拠点も、壁のすぐ裏。壁に沿うように擂鉢状に形成されているので、ロンドンがブッパした超兵器(世界が滅んだ要因の一つ)で一瞬で炭化されている。それがすごい速度で冷却・装填・発射するものだから壁ほぼ失くなっちゃっとる。
そこに動力を失ったロンドン市民を迎え入れる事にしたみたいだけど、この壁の状態だと残った移動都市側に攻められたりしないのかな…。
あとめっちゃ空飛ぶ謎動力の船持ってるけど、移動都市側は持ってないのかなぁ。空から来て空中戦になってもやばそうだけど。

あ、ロンドンの超兵器を止める鍵はちょくちょく出てた目ン玉のブローチの中にあった。今まで開く事知らなかったのもちょっと無理ある気がするけど、序盤の興奮から中盤辺りで完全に王道ラインに乗っちゃってたのでしょうがない。
もっと他の都市観たかったなぁ~、オールドテクノロジーとか(ほぼ現代の家電類)。素材は良くて大好きなんだけれども、キャラクターとか描写の仕方がイマイチで非常に勿体ない作品だった。
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