千年女優

孤狼の血の千年女優のレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.0
1988年、地元の尾谷組と広島市の五十子会が血を血で洗う抗争が繰り広げる呉原市へと赴任した広大出身の新人刑事、日岡。五十子会の下部組織である加古村組が関わる呉原金融の経理士行方不明事件をベテラン○暴刑事の大上と捜査する彼が、黒い噂のある大上の違法捜査に辟易しながらも徐々にその深淵に迫る様を描く任侠サスペンスです。

昭和の終わりでまだ暴力団対策法が成立される前の広島を舞台とする柚月裕子の長編警察小説を原作に、『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌が、役所広司と松坂桃李の主演でそれらの過去作と同様にバイオレンスな映像を交えながら本質的な正義を貫くアウトローなヒロイズムを描いた作品で、漢臭い物語と演出で高揚感を抱かせます。

近年の日本映画で暴力団の抗争を描く作品と言えば『アウトレイジ』シリーズですが、娯楽性を追求しつつも暴力に対して突き放した姿勢の北野作品と比べると劇的で漫画のような展開のあるエンタメ志向の強い作品で、狂気のままに治安維持を己の使命にその身を粉にして孤独に戦う者とその継承を描いた拳を握る様なアツさのある一作です。
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