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孤狼の血のCANACOのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
3.4
「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」「彼女がその名を知らない鳥たち」の次に鑑賞したためか、自分的にはいちばん見やすい作品だった。重厚な2時間テレビドラマ(松本清張ものとか)を見たくらいの健全さを感じた。

14年前のある事件に関与していた疑惑をもたれながらも、広島の呉原東署のマル暴デカとして凄腕を振るう大上刑事(役所広司)と、広島大学出身エリートコース組のはずなのに何故か大上とコンビを組まされる若手の日岡(松坂桃李)、そしてゆかいな警察とヤクザの物語。

ナレーションが大映ドラマ感(=昭和感)醸し出してて、昭和がわかる世代的にはニヤッとする。テーマ曲もよき。

黒沢清監督「CURE」、中島哲也監督「渇き。」でも、役所広司さんのぶっ飛んでる刑事役は見たが、これが一番人格がまとまってて安心して見られた。
イカれた行動をとりながら、人間らしい血の通ったコミュニケーションをとる大上。アンチヒーローのようで実はちゃんとしたヒーローで、主役にふさわしい。

原作がしっかりしているのでストーリーは文句ないし、「役者が揃った作品」なので、見応え抜群。グロいシーンはあるが、精神抉られる辛さは「凶悪」ほどはない。

大昔、「本物のヤクザに一番ヤクザの匂いを感じる役者は誰かと聞いたら渡瀬恒彦さんと答えた」という話をテレビで見てから、なんとなくこういうバイオレンスな作品を見るたび、「誰が『本物』っぽいか」という見方をしてしまう。

そういう見方でいうと、トレンディドラマのマフィア役くらいの怖さの役者さんがちらほらいた印象。だから全体として2時間ドラマくらいの健全な印象も持ったんだと思う。R15なので地上波無理だけど。

役所さん以外では、ピエール瀧さん、中村獅童さん、滝藤賢一さん、あと松坂桃李さんはホント上手いなあと感じる。竹野内豊さんは「彼女がその名を知らない鳥たち」のほうがいい意味で怖くてロクデナシだったかな。
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