おれさま

誰がための日々のおれさまのレビュー・感想・評価

誰がための日々(2016年製作の映画)
4.1
"じゃ、僕たちは花が適応できるようにここを整えてあげよう、より良い場所にしよう。"(那我們将這里変得適合它們、将這里変得更好吧。)

健常者、そして疾患と共に生きる人。両者の目線からなる世の中の対比が濃く描かれている作品。今作を観ている最中は、正直、双極性障害を題材にしたのであれば、物凄くありきたりな作りだなとも思えた。ですが、原題の"一念無明"を調べるにあたり、また違う視点に気付けました。

近年、香港映画では完治のない病を題材にした映画が多いようです。今作も病との共生が描かれており、精神疾患の患者を4年かけて調査、訪問し、2年を修正に費やした力作です。
香港の社会情勢には詳しくありませんが、世の住みづらさを象徴としたようなシーンが散らばっております。何が正常で、誰が健常なのか。また、疾患と共生した人にしかわからない世の中の異常。
大切なのは、誰にでもなり得る病であること。いつもはわからない自然な姿であるけれど、発症・再発した当人にしか分かり得ない想い。自身の変化と共に、周囲の変化が顕著になり、発症したことで異質のものとして捉えられてしまうこと。
良い作品ではありませんか。

久しぶりの映画視聴でした。
この数日間、忙しい日々でもあり、あえて映画と距離を置いてみるのも、と思っていました。何かを忘れる為、没頭する為に無心で観ていた日もありました。ですが、映画ってそんな義務感じゃあつまらない。もっと、気楽な映画ライフを送れる、心の余裕が欲しいなって、コロナ禍にこそ思うのでした。
出来ることをやって、次の大きな自分への投資を、それがいまですかね。
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