クリーム

誰がための日々のクリームのレビュー・感想・評価

誰がための日々(2016年製作の映画)
3.8
これは、久々にキツかった。どこにも救いが見当たらない。あの後、彼等はどうするのだろう?心配になる。これは、香港の話だけど、日本にもあるだろうと思える。胸を締め付ける、ヘビー級な作品でした。
寝たきりの母の介護を1人で行って来たトンは、やがてうつ病を発症。ある事件を起こし、母を亡くす。1年後、うつ病の治療を終えたトンは、疎遠だった父と暮らし始めるのだが……。



ネタバレ↓



母の介護の為、仕事を辞めざるを得なくなり、婚約も解消した、トン。 父ホイはトラックの運転手で、家族の事を気にかけず不在の日々。弟も留学中。ある日、母と口論になり、もみ合いの果てに母を死なせてしまいます。結果、裁判では無実の判決を受けますが、躁鬱病と診断され強制入院となり、一年後、まだ怪しい状態なのに退院となります。
そして、疎遠だった父ホイと狭いアパートの部屋で、共同生活が始まります。しかし、社会復帰は進まず、全て悪い方へ悪い方へ向かって行く。
完全に治っていないので、突然、怒り出したら止まらなくなったり、落ち込んだら、風呂にも入らず何もしない。父は、トンをもて余すばかり。父は、不運にも仕事中に事故にあって怪我をしてしまう。2人が、ぶつかり合った時に父が仕事ばかりしていたのは、母と上手く行かず、役立たずと罵られ、虐げられ、自分は仕事でお金を稼ぎ、家族を養う事に専念するのが一番良いと思ったと言う事だった。彼は、家族の為に必死で働いていたのだった。ここで、トンは初めて父の思いを知った。これで、良くなって行ってくれれば良かったのだが、トンは医者へも行かず薬も飲んでいないので、良くはならない。アパートの住人達の不安で、2人は追い出される。
最後は、2人で川辺に座っているシーンで終わります。
はあぁ、この先に良い事は待っているのだろうか?確かに父と息子の心は、通いあったが、双極性障害の息子と60歳を越えた父。住む所すらない。頑張って生きて欲しいと願うしかない。父の優しい心が息子を支えられれば良いと…。
これぞ鬱映画。
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