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ソウルメイト/七月と安生のxyuchanxのレビュー・感想・評価

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)
3.8
たまたまだけど、ほぼ同じタイトルで全く別物を2作連続で。

デレク・ツァン監督の「少年の君」が素晴らしかったのと、チョウ・ドンユイの演技にも惹かれてたのでこちらも観てみた。

この監督の映像はとことんエモい。そして主役2人の演技、特に安生役のチョウ・ドンユイの七変化には驚かされる。
レイチェルさんレビューによると岩井俊二監督が制作に関わっているとのこと。なるほど。

さて、中身について・・

家明に関してはあまりに優柔不断にも思えるけど、彼が先に好きになったのは明らかに安生。あんな田舎町に育ちながらも自由を象徴するような安生に惹かれたのは無理もない。
それに、恋愛の経験もないなか初めて身近に表れたイケメンに、2人ともが、それが恋愛か否かもわからぬまま、好意を寄せてしまったのも自然なこと。

本作の物語としては親友同士の女性2人と1人の男の愛憎劇・・・ではあるけど、テーマはほかにある。中国当局の検閲の問題もあったのかも?
おそらく同性愛という概念すら視野に入らなかったであろう田舎に育った七月と安生。その自覚はなかったとしても、2人の関係はおそらくそうであった。

そして、安生は七月の幸せのために”身を引いた”つもりだった。おそらく、彼女が諦めたのは家明ではなく、七月。
彼女と2人だけの幸せというカタチは選択肢にも入らない社会だったからだろう。

序盤、”私は読んでない”のひとことで、おそらく・・・とは思っていたことは当たっていたが、最後にもうひと捻り。

なにがあろうとも離れられない、人生のアンカーとなるような存在に出会えただけでも、たぶん幸せなんだと思う。

僕には少しエモすぎるし、女性視点にはなり切れないけど、さすがデレク・チャン監督と感じる作品でした。
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