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52Hzのラヴソングのtomie77のネタバレレビュー・内容・結末

52Hzのラヴソング(2017年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

バレンタインデーの台北を舞台に複数のカップルの愛の行方を描くミュージカル。
30を過ぎても恋を見つけられず鬱屈している花屋の小心。恋人の蕾蕾にプロポーズするため小心の花屋で薔薇を買う大河。大河を経済的に支え続けるも限界で別れを意識する蕾蕾。蕾蕾に片想いするショコラティエの小安。この4人を中心に、結婚を望み市の合同結婚式への参加を求める女性同士のカップルや、小心のおばの恋模様なども描かれている。

徹頭徹尾、恋愛について歌うロマコメ・ミュージカルなのでそれを求める人、好きな人はハマる作品と思う。
そういう映画は好きなほうだが、どうしても大河のキャラクターが無理で残念ながらハマれなかった。
音楽の夢を追い、借金は蕾蕾に払ってもらい、蕾蕾に贈った指輪の代金すら彼女自身に払ってもらったダメ男。その上楽観的でプロポーズの為にカードで高い薔薇の花束を買い、ディナーに高級店を予約する。そんなお金があるなら生活費に回してという蕾蕾に心から賛同した。

蕾蕾の「愛を維持するのは簡単。欲しい物を諦めるだけ」「あなたを愛して多くを得た。失った物のほうが多いだけ」という歌詞の辛辣さが好きで、彼を切り捨てて自立するのを期待していた分、結局なんだかんだ彼を許しちゃう展開にがっかり。大河は音楽で賞をとり、明るい未来を予感させるものの、だらしない性格はそのままなのでお金の問題が解決したから全てオッケーと思えないのが辛い。

ミュージカルとして音楽は良いし、映像も可愛い。花屋の黄色いトラック、沢山のお花、小安の作るチョコレート、赤と緑の郵便ポストすら可愛く見える。小心と小安の、最悪な出会いからやがて良い雰囲気になる王道の展開が微笑ましい。
女性同士のカップルの、偏見の目に傷ついたらお互いだけを見る、という歌詞も好き。台湾では同性婚が合法化されているが、この映画の製作時は合法化前だったらしく、それほど年数が経っていないのに驚いた。
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