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ピンパンのネットのレビュー・感想・評価

ピンパン(2016年製作の映画)
4.5
最近改めてシニシズムは良くないなと思っている。だからこそひたむきな人・ひたむきな行動を好きでいたいし、好きでいれているのは良いことだと我ながら思っているし、自分もできればそういう人間でありたいと思っている。そうなることはとても難しいのだけれど。
この映画が好きなのも主にそういった理由で、寡黙でシンプルでひたむき。それは主人公の行動や視線もそうなのだが、ピンポン玉の音のリズムや編集のミニマムさ、長く映すときは長く映すこと、タイトな演出(切り返しを拒否する壁の建築→破壊)とか、そういった諸々の真剣さに惹かれる。虚飾されすぎた快楽でもなく、長回しによるドキュメンタリー性の神聖化でもない。フィクションによって的確に削ぎ落とされ再構築された、素朴な生の美しさがあるように思う。『ウェンディ&ルーシー 』や『フィッシュタンク』を見たときの気持ちに近い。
物語は中断されているように見えるが、下手に着地点を見出すよりは全然良いと思う。
最近見た映画の中で一番好き。
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