ゆずきよ

ファースト・マンのゆずきよのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.3
人類初の月面に立った男、世界で1、2を争う有名な宇宙飛行士であるアームストロング機長の伝記を映画化。
あの有名なアポロ11号の機長である。
ちなみに少佐でも少将でも無く、トランペット奏者でも無い。

物語としては挑戦と失敗を繰り返しながら歴史に名を刻んだ家族の物語。
冒頭の飛行シーンで胸を掴まれる。
カメラアングルと効果音で素晴らしい臨場感。
そして、心臓をすり潰される様な悲しい出来事。
こればっかりは辛すぎる。
いくら表面上乗り越えた様に見えても、血管に棘が引っかかった様にずっと蝕み続けている。
ただ、この経験から、より強固に結びつく物がある事も確かで、その表現が上手い。
そこからは挫折と絶望の繰り返し。
それでも更にそこから這い上がり新しい景色を探す。
辿り着いた結末は、仕事中じゃ無ければ泣いていました。間違い無く。
私の一番弱い所を突かれてしまった。

とにかく効果音の使い方が凄い。
無音の演出も見事で、それが宇宙空間と絶妙に合っている。
表情だけや全体を見せないカメラワークも、臨場感と緊張感を心地良く刺激してくれて、私にはとても良かったです。
そして1番の立役者は奥様であるクレア・フォイ。
彼女の登場するシーンが、物語にとても良いメリハリをつけていました。

こういう映画を観るといつも思う。
私は、仕事に誇りはあるけれどめちゃくちゃサボるし、家の事や料理は好きだけど、めちゃくちゃ手抜きする。
親として子供の為には、もっとお金を稼いで楽な生活をさせてあげた方が良いのかも知れないけれど、子供が望む限りは成人するまで側で支えてあげたい。
私は自分が凡人だって知っているからそれが精一杯。
だからここまでの偉業じゃ無いにしても、何かを成し遂げて名を残せる人を素直に尊敬するし、少し嫉妬してしまう。
家族との時間を大切にしながらだとやっぱり何かを成し遂げるなんて出来ないのかな?
悔しい気持ちもあるけれど、それならそれでも良いや。
私は私に出来る事をやるし、死ぬかも知れない事は出来ない。怖いから。

最後に、アポロ11号は本当に月面に行ったのか?だって?
そんな事はどうだって良くて、少なくともファーストマンという映画のニール・アームストロングは、間違い無く月面に降り立ったんだ。
それで良いじゃ無いですか。
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