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ファースト・マンのMのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.3
この作品は地球と宇宙、当事者と世論をそれぞれ対立項に据えていて、だけどその境界が断絶されずに曖昧になっているのがリアルだと思った。
船内からの描写だと全身を震わせるようなとてつもない衝撃が伝わってくるけど、宇宙から見たアポロ11号は穏やかで静謐に浮かんでいたり。
たくさんの犠牲を払いながらも人類にとって大きな歴史を刻むために奮闘している人がいる一方で、その価値や代償を知らず無慈悲に批判する大衆がいたり。
あくまで地球での生活の延長線上に宇宙が広がっているような、そんな自然さがあった。

印象的だったのは「地球から遠く離れた月に行ったら寂しいか」という子どもの問いかけ。
視野が広がっていることを想像させるものの、離れたところへ行ってしまう父親に哀愁を漂わせる子どもの尺度(ものさし)は日常におさまっていて。
遠いとわかってはいるのに目視できてしまう月との物理的、心理的距離感が如実に表現されていたと思う。
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