佐々木

ファースト・マンの佐々木のレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.3
個人的に2019年上半期最高作品。
「これは1人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」で有名なニール・アームストロングの伝記を元にした映画。

近年流行している歴史的有名人の成功譚をドラマティックに描く映画ではなく、チャゼル監督の一貫したテーマである「夢追い人の孤高」を描くことに特化した映画です。

そのため主人公の心理を暗示させる演出が多く、かなりの宇宙・航空工学の知識がなければ全く何が起こっているのか分からなくなると思います。ララランドのような綺麗な脚本を期待してると、「鬱病か?」と思うほどのひたすらに寡黙なライアン・ゴズリングの演技に困惑すると思います。非常に人を選ぶ映画です。


ストーリーは伝記を元にしているので大体のあらすじは史実に基づいていると思いますが、wikiで見ただけで細かいところの描写はオリジナル要素が加えられているのが分かります。

主人公は幼い娘を無くし、妻から「若い頃から落ち着いている」と評される口をさらに閉ざして仕事にのめり込みます。しかし、遠目からは憧れの宇宙飛行士という職業は彼の周りに多くの犠牲をもたらします。主人公は大きな責任と願いを胸に宇宙船に乗り、妻、友人、子供たちは寡黙な彼を信頼と不安の中で見守ります。

様々な記事を見たところ、どうやら映画内のように彼はひたすら寡黙ではなく、彼の妻も夫に引きずられるような性格ではなかったみたいです。映画のように闇の中をひたすら生きている生活ではなかったのでしょう。しかし、史実として主人公とその周りの人々は多くの悲しみを経験しています。偉大な功績を残した偉人は皆、その熱意によって数々の困難を乗り越え、取り返しのつかない犠牲と引き換えに歴史に名を刻んでいるというチャゼル監督のメッセージが伝わってきます。



余談ですが、ニール・アームストロングはその後離婚しています。
佐々木

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