さすらい人

ファースト・マンのさすらい人のレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.0
失ってはいけないものを喪失し苦悩を抱え心を閉ざした男が、宇宙飛行の極限の緊張に魂の救いを見出そうとする…ニール・アームストロングの孤独な内面を掘り下げながら、史実のSFスペクタクルとしての重厚な説得力を両立させる手堅いバランスが絶妙。”偉人伝”に走らず、繊細で内省的、丁寧なアプローチの落ち着いた質感に深く共感する。

『ライトスタッフ』や『アポロ13』に描かれるノスタルジーと愛国心をくすぐりながらのヒロイズムや”男の美学”に素直に入れ込むことが出来た、そんな単純明快な懐古趣味が通用する時代は終わったんだなと実感。

それにしても『ラ・ラ・ランド』の後に、この題材をこんなふうに料理できるデイミアン・チャゼルの手腕はスゴい。ゴズリングは『2049』よりずっと好ましい。真実味のある地味なキャスティングが効果的。サントラも良い。

ジャック・ヒギンズの「The Eagle Has Landed(鷲は舞い降りた)」はアームストロングの通信メッセージの引用だったことを本作で初めて知った。
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