とぽとぽ

冬の旅のとぽとぽのレビュー・感想・評価

冬の旅(1985年製作の映画)
3.5
ロードムービーとしてきれいに誂えられた"自由への逃避行"ではないが、それゆえに際立つ彼女の逞しさ

この寒いのに今頃キャンプ?真冬に野宿するティーンエイジャー18歳の反骨少女宿無し娘モナ。
ろくに働かずに、世話になった人への感謝も示さない我儘なキャラクター。そう生きること、放浪することへの信念のようなものも特段感じない。彼女の場合は、例えば"自由への渇望"といった言葉もしっくりと来ない、逃避。ただの社会不適合者か、大人になっていくにつれて失っていくものか。
行く先々で関わった人たちの目撃証言によるパズル伝言ゲームは、汚いホームレス扱いから褒め言葉などに変わっていく。ブリー・ラーソン似の主人公、臭気を帯びていく彼女の彼女のその強い瞳・眼差しには、この世の中はどう映っていたのだろうか?そして、彼女自身も予期しなかった死へ。
男どもの言動など、生きづらい中でも諦めることなくどうにか自由を求める女性の姿としても力強く刻まれている。

「草の切れ目が縁の切れ目」
勝手に関連作品『イントゥ・ザ・ワイルド』『ノマドランド』『ウェンディ&ルーシー』
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