開明獣

ウィルソンの開明獣のレビュー・感想・評価

ウィルソン(2017年製作の映画)
5.0
ウッディ・禿げる損が好っき(スキウサギ調)

「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の殺人鬼役から、「LBJ」の重厚な大統領役、「ガラスの城の約束」のモンペア、「スイート17モンスター」の良き教師など、どちらかというとサイコな悪役のイメージが強いけれど、なんでもこなしてしまう強烈な性格俳優。

実生活では殺人犯の父を持ち、大麻合法化運動の先頭にたち、カメラマンを殴ったり、何度か逮捕されてるプライベートでは相当な問題児でもある。

破天荒で型に嵌まらない役者ぶりに好感を持ってしまう。そんなウッディ(俺のブーツにゃ、ガラガラへびー、ではなーい!!)が今回演じるのは、生活力はなく、前の奥さんには逃げられ、唯一授かった子供のことは内緒にされた挙句、養子にだされと、散々な目に遭っている中年男。

主人公は捨てられたのに、別れた妻が忘れられず、自分の子供が実はいると分かってつきまとうが、疎んじられる。人の言うことは聞かないし、それでも平気で人に話しかけては問題を起こしていく、要するにウザい奴。つまり、

だめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのまるでだめお

なんだなー。

そして、そんな主人公にとても親近感持っちゃうのですよ。なんでかというと、開明獣も、

だめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのだめだめのまるでだめお

だから。

*一個だけ、だめだめの、を減らしておいたけどね。せこいから。

でもね、主人公は、世の中の底辺みたいな存在だけど、それをちっとも恥じることなく、言いたいことはしっかり言う。愛する人のことは、何度裏切られようが笑って許す。そういうところは、憎めない愛すべきキャラクターで、開明獣もかくありたいと思うんだよね。

自分も失敗だらけのしょんみりな人生で、時に這いつくばるような思いで生きてきたから、この主人公の生き様に共感しちゃうのかもしれない。この主人公ほど、大胆でも人間出来てもいないけどね。

世の中に負け犬なんて存在しない。上から目線の奴らには言わせておけばいい。自分が幸せかどうか、それが最も重要なことだから!

そうやって、ウッディは今回も禿げ増してくれたんだよね。名前通りにね!

自分だけの映画があったっていい。そんな作品が一つくらいあったっていい。そんなことを思わせてくれる作品でした。
開明獣

開明獣