ポルりん

タイ・カップ/Cobbのポルりんのレビュー・感想・評価

タイ・カップ/Cobb(1994年製作の映画)
3.7
作品自体は良作なのだが・・・。


■ 概要

大リーグ史上伝説の名打者、タイ・カッブの矛盾に満ちた生涯を描く異色の伝記映画。
監督・脚本は「さよならゲーム」「ハードプレイ」とスポーツ映画を得意とするロン・シェルトン。
主演は「ブルースカイ(1994)」のトミー・リー・ジョーンズ。
共演は「バットマン(1989)」「ミストレス」のロバート・ウール、「わかれ路(1994)」のロリータ・ダヴィドヴィッチほか。


■ あらすじ

時は1960年。
スポーツ記者のアル・スタンプ(ロバート・ウール)は、30年前に引退した伝説の選手、タイ・カッブ(トミー・リー・ジョーンズ)の自伝の執筆協力を依頼される。
カッブは病気がちで、酒を浴びるほど飲み、そして何より怒りっぽくすぐに銃を振りかざす男だった。
カッブはアルに、私生活の事は一切触れずに野球人としての偉大な足跡のみを書くよう強要する。
アルは表向きの伝記とは別に、彼の真実の姿をつづった別の原稿も並行して書き進めていった。


■ 感想

本作は、1920年代に活躍した伝説的野球選手’タイ・カッブ’を描いた作品である。
タイ・カッブの実力は「球聖」呼ばれるほど素晴らしく、


首位打者:12回

生涯の終身打率:.366

タイトル:六冠王(世界唯一)

通算安打:4191本

通算得点:2246点

通算盗塁:808回


といった神がかりな成績を残している。


記者「メジャーリーグ史上最強の選手とは?」


との問いに、メジャーリーグ関係者の80%以上が名前を挙げるのも納得の成績である。
神がかりな成績の一方、素行が非常に悪い面を持ち合わせている。


・'タイ・カッブ'がホームベースを踏む際、相手チームのキャッチャーの股間にライダーキックをかます。

・乱闘の際、相手投手に拳銃を突きつける。

・野次を入れた障がい者を袋叩きにする。


など、同情の余地もないクズ野郎だ。
もし、'タイ・カッブ'が野球の道に進んでいなかったら、ギャングになっていたに違いない。


実際の所は分からないが、一般的に報道されている'タイ・カッブ'とは上のような人物なのだが、本作でも彼のクズさを上手く描いている。
基本的にクズを観ると白けたり怒りが湧いてきたり、はたまた笑えてくるのだが、ここまで徹底したクズだと逆に感動を覚えてしまう。
始めは、トミー・リー・ジョーンズのやり過ぎ演技には少々違和感があるが、よくここまでの濃厚な醜悪な人物を演じ切ったもんだ・・・。

ストーリーも野球映画でよくある明朗快活なものではなく、視聴者に明確な答えを提示しない黒く濁ったものを描いているので、個人的には割と好きな作品だ。

作品自体に特に不満点はないのだが、正直邦題に関してはかなり不満だ。
何故'タイ・カッブ'の奇怪な人間像を描いた作品なのに、邦題が「タイ・カップ」なのだ??

他のならまだしも、濁点を半濁点にしたらダメだろ!!
「プ」と「ブ」じゃ印象が全然違うぞ!!

「ダイの大冒険」に登場するキャラクターの中に、'大魔王バーン'といったクソかっこいい名前の奴が存在する。
仮に'大魔王バーン'の濁点を半濁点にしたら、'大魔王パーン'といった微塵も威厳が感じられない、アホな印象を与えてしまう。
もはやホイミスライムにすら瞬殺されそうなくらい情けなさを感じる・・・。

まあ100歩譲って、架空のキャラクターなら良しとしよう。
ただ、本作に登場する'タイ・カッブ'は実在する人物だ・・・。
幾ら何でも失礼すぎだろ!!!
バカにしてんのか!!


一応調べてみたのだが、どうやら日本で長期間'タイ・カップ'と誤った表現をしていたことから、タイトルを「タイ・カップ」にしたらしい。
だったら、これを期に正式な本名を広めるべきだろ!!!
何考えてんだ!!!
ポルりん

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