geminidoors

マッドバウンド 哀しき友情のgeminidoorsのレビュー・感想・評価

4.2
原作からの脚本の示唆しようとする"行く末がわかり易い映画"だが、頭を使いネタ的な事象ばかり追えば所謂"暗さ"から観る側の好き嫌いが分かれるだろう作品だと思う。

ワタシには良かった。話の展開の内容ではなく、映像のトーンや語り部担当が代わる手法や、演者のソツが無い演技の切り取り方が。
撮影も上手いと思いチェックしたら女性で、どうりで優しい光を捉えた場面や合間に挟まれる自然描写がさりげなく素敵だった(等と書いたら今の時代は性差別に当るのかしらん?)。
併し、話の筋(中身の事象)は人種差別が蔓延る地域での悲しい連鎖の様なものだから、挟まれる風景描写の美しさが寧ろ救いなのだった。
個人的には2.5h位にしてもいいからもっと風景を、田舎の自然の"厳しさと表裏一体の美しさ"として画面に欲しかったと思った。

再び併し、悲しい事象の奥で一番気付かされるべくは、肌の白い人も黒い人も関係無く誰もに起こる(人が生きてゆく上で起こり得る)繰り返される問題だと感じた。
親子間や姑と嫁との関係。
土地や農業に纏わる拘りや生きる縁。
そして命が戦や流産や様々な形で、失われたり脅かされる等の"神を感じたり問いかけるかの体験"。
人種を超えて仲良くしなさい、争いはいけません、等の教育的メッセージというより…大戦勃発から終戦後の数年間の全編を通して"人の愚かさ"や、その中でも男子二人の絆(戦友)を"雨季には泥だらけになる大地"を舞台に演出したかった作品なのではないだろうかーと思う。

それにしては終局のまとめ方はいつだってご都合主義なのは否めないのだが、そこはカットしても仕切れない(2h強だとしても無理くり納めるには溢れる位の)原作からのインスパイアだったのかも知れない。



久方に一気に時計を気にする事なく観れた。
昨年秋から他のシリーズドラマを夢中に観る合間のタイミング、時折り観て来た幾つかの映画作品はガッカリさせられた作品ばかりで。
他人のレビューが割と良くてもワタシには味気なかったり、集中して観切れない物が多くて、面倒がる内にレビューしそこねてる場合が多々ある。
ドラマが面白過ぎたのかしらん…

かく言う本作はエンディングの曲はストレート過ぎて趣味では無いものの、観終えて直ぐレビューしたくなる位に個人的には楽しめたから◯でした。



補足としてはー
友情育む二人の内の白人のイイ男、どうしてもダメ男の羽賀研二を彷彿とさせるから参った。
観ていてワタシがポロっと"コイツ梅宮アンナの元…"と呟いただけで我家の2歳下のカミさんが"ヤメテよね〜"と吹き出した。
夢中に観ていたから二人とも黙ったのだったが、終わってからカミさんの一言目が
"それにしても羽賀研二似てたわネ…"と言い出したから
"もう彼の話なんかやめよう!"と言ってやったんだ。

かなり似てたんだな…
geminidoors

geminidoors