タンシロ

勝手にふるえてろのタンシロのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
3.8
独特なテンポ、独特なテンションの映画だなと、これまでに見てきた邦画とは違った、味のある作品だなというのが冒頭から序盤にかけての感想。

そしてその変なテンションと独特の雰囲気の謎がとけたとき、この映画の虜になる。あぁ、人はこうして恋愛をこじらせていくんだろうな。結局自分の中の他人は自分の都合のいい解釈をして、自分の中にある価値観で物を語るんだ。現実ってなんでうまくいかないんだろう。共感と内省の嵐。人によっては内部をえぐられる感覚に不快感を覚える人もいるかもしれない。けれど、すべてとは言わずとも主演の子には共感せずにはいられないし、他者を受け入れるという気持ち悪さはまさしく現実であり、現実あるがゆえの難しさがあるものなのだと、この作品で擬似的につきつけられる。

とくにこの作品では、絶対に正反対に思える、自分の内側に世界を広げる女と、自分の外側に世界を広げる男の組み合わせで話を展開していくので二人の押し引きと、最後の落とし所には違和感を感じつつも、こんなもんなのかな、こういうものなんだろうなと妙な納得感を得られた。
価値観の合う理想の相手もよいけれど、対話によって自分という人間の弱さに気づける相手というのもまた味わい深い関係なのかもしれない。
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