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ディードラ&レイニーの列車強盗のとぽとぽのレビュー・感想・評価

3.5
人生どん詰まり。フレッシュな面子によるフレッシュで小粋な小作品といったた佇まいだけど侮るなかれーーーー妹と弟の面倒を見ながら学校に通う、バカな両親を持った娘が思い付いたのは列車強盗。家が鉄道の車庫からすぐ側にあるし、保険を掛けられていると聞いたから。独創的で(選曲もヒットチャートみたいに)ポップな演出に良質インディ映画的空気感が流れる中、独特なテンポでオフビートにユーモラス。シュールで秀逸、ティーンの実情に向こうならではの田舎の空気感もしっかり出ていると思う。つまり夢や人生に未練・心残りを抱えていたり、破れた・負けたと感じている"退屈"で代わり映えのない日常。『リトル・ミス・サンシャイン』『ローガン・ラッキー』等でも描かれているようにミスコンが一部の人にとって全てにもなり得る娯楽の希薄さと閉塞感。そして案の定の詰めの甘さ故に直ぐバレそうになるのだけど、それを逆手に取って次第に共犯者を増やしていく過程が何とも面白くもある。作品として色々と今あるものを有効に使い、状況がどんどんポンポン意図せず転がっていく。そして気づく、思ったよりずっと深く思ったよりずっとスマートだと。ずっと離れたかったしみったれた町、やっぱりこれも一つになって家族の物語に優しく温かな眼差しで帰結していくよう。だから、こっちはちょっとやり方が過剰というか間違ってはいるかもしれないけど『レディバード』や『グッド・ウィル・ハンティング』等とも意外と共通点あるかも。列車強盗という行いからも、青春学園ものに現代の西部劇的要素も組み込んだ感じ?「"ドラマの"Netflix」と言われがちだけど、たまにこういう作品にも出会えるから映画もやはり捨てたもんじゃないと言いたい。

「俺の得意分野で娘を助けられる。これぞタナー家の娘だ」「悲劇のヒロインぶるな」「うちの家族は互いを傷付け合うの」「あなたのせいで人生が台無しになったなんて思ってない」「あなたの生徒は私の管理下に置かれた」「人に気付かれないのが私の取り柄よ」「我が家で初めての大学生よ」「将来に希望を持てない人も多いはず」
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