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月と雷のameのレビュー・感想・評価

月と雷(2017年製作の映画)
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影と捉えるか、木漏れ日と捉えるか。

片親で育ったわたしにとっては木漏れ日の映画だった。 複雑な家庭で育った人には光が差す映画だと思う。

複雑に絡まった関係性の中に潜む密かな優しさが散りばめられていた。

流木のように漂う直子の生き様は身勝手さの裏側に人を傷つけたくないという優しさがあった。

男と住まいを転々と変える母親の背中をみつめて育った智。普通ならグレてもおかしくないのに、優しい心を持った青年に育った智に安堵。救われた。悪意なく懐にふっと入り込める気質は母親譲りなんだろうな。 お母さんのことをどこかで肯定してあげている心情が愛しい。

泰子と2人で幸せに暮らして欲しいなと切実に思う。 最後は庭で眠っていたのかな。

人はひとりでは生きていけない。 孤独のほつれを縫い直しながら日常を埋め合い生きていくこと。 いろいろ教えてもらった。 

よい映画だった。
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