アキラナウェイ

ポンチョに夜明けの風はらませてのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.5
アニメ「母をたずねて三千里」の主題歌「草原のマルコ」の歌詞の一節に、この作品のタイトルが歌われている。

ポンチョに夜明けの風はらませて。

原作は早見和真による小説。
当然、「草原のマルコ」の歌詞へのオマージュだと勝手に思っている。

しかし、ここはアンデスではない。
日本だ。

厳密には父を訪ねて三千里いや、そんなに遠くまでも行かない旅路の果てで、ポンチョに夜明けの風をはらませる物語だった。

人情深くてお調子者の又八(太賀)。クールで知的なジン(中村蒼)。お人好しでマイペースなジャンボ(矢本悠馬)の3人は、高校卒業間際になって、その自由を謳歌するべく旅に出る。ジャンボの父親(佐藤二郎)の車を盗み出して—— 。

高校生活最後のモラトリアムを最後の一瞬まで楽しみ尽くす為、駆け抜けていく少年達。

太賀のキャラが濃ゆい。大声で叫びまくる破天荒キャラ。中村蒼は可もなく不可もなく。設定程に知的な要素は感じられない。矢本悠馬はおっとりしていながら巨根の持ち主というギャップが凄いキャラ設定。

何せ3人のゆるい空気感が良い。

道中でグラビアアイドルの愛(佐津川愛美)、風俗嬢のマリア(阿部純子)と出会い、5人になっても旅は続く。

序盤でヤンキーに絡まれ、ジャンボの父の愛車が見るも無惨な程にボッコボコになるのワロタ。

それでも旅は終わらない。

ポンチョはどうした?
夜明けの風ははらませるのか?

その辺りは観てのお楽しみ。
又八の出生の秘密、そしてその最後のオチにもヤられた。

いや、まだ終わらない。

リーサルウェポン、染谷将太が卒業式ライブでぶちかましてくれる大団円。恐らく高校生活では空気として、級友達にもその存在を知られていなかったであろう超絶地味キャラがハマり過ぎている。

この日を境にそれぞれがそれぞれの進路に進み、大人の一歩を踏み出していく。

うん。
荒削りの青春。
若いんだからこれでいい。
車もボッコボコだけど、
これでいい。
くっだらないし
馬鹿馬鹿しいけど
これでいい。
作品としても荒削りだし、
何処となく未熟なんだけど、
これでいい。