rage30

ヒットマン:インポッシブルのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

殺し屋の仲間になってしまう、障害者の青年の話。

如何にもB級ジャンル映画なタイトルですが、どちらかと言うと、ヒューマンドラマ寄りな作品でビックリ。
これはタイトルで損している作品だな~。

主人公はコミック作家を目指す、障害者の青年2人。
障害があるからと言って、彼らを聖人君子にはせず、その辺にいそうなボンクラなオタクにしたのは好感の持てるところ。
そんな2人が殺し屋の男と出会い、奇妙な友情を築いていきます。

青年達と同じく、殺し屋も車椅子ユーザーなのですが、車椅子や障害という偏見を武器にして、仕事をこなしていくのがユニークでしたね。
車椅子に乗ってる人間が銃を持ってるなんて、なかなか想像出来ないし、まさか殺し屋だとは思いもよらないでしょう。

そして、本作のもう一つの見所となるのが、殺し屋と青年達の交流。
仕事だけでなく、プライベートも共にする事で、仲を深めていくのですが、印象的だったのは釣り場のシーン。
青年達を湖に落として殺すか?助けるか?というサスペンスは勿論、最後に殺し屋も湖に落ちる事で、彼が生まれ変わった事を象徴させるのも上手いな~と思いました。

最終的に殺し屋は青年を庇って死ぬわけですけど、生死をかけた経験をした事によって、青年も吹っ切れたのかな~と思いきや、どうやら殺し屋は青年の空想だったとの事。
恥ずかしながら、他の人の感想を見て気付いたのですが、殺し屋と青年の父親を演じているのが同じ俳優だったんですね。
そう考えると、殺し屋は青年にとっての理想の父親像が反映されていたのだと思うし、それを踏まえて見れば、また新たな発見があるかもしれません。

殺し屋を描いた犯罪映画であり、障害者を描いた社会派映画であり、ボンクラ男を描いたコメディー映画であり、青年の成長を描いた青春映画であり…。
とても一言では説明出来ない、ジャンルレスで不思議な味わいのある作品でした。
ハンガリーの映画らしいですけど、こういう普段なら絶対見ない作品とも出会えるのが、サブスクで映画を見る醍醐味と言いますか、良い拾い物をしたなと。
タイトルだけだったら絶対にスルーしてたと思うので、評価や評判もきちんとチェックしないといけませんね。
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