ここのところレビューをサボっていたので、劇場で結構前に見た映画を忘れないうちに記録しておく。
本作らスピルバーグが、「撮るならもう今しかない」と覚悟を決めて超絶スピードで完成させた力作。
1テイクで次々とカメラに収めていくことで有名なスピルバーグのスピード撮影を物ともせず、主力俳優陣の演技力と、作品全体の完成度は圧巻。
ニクソン大統領が退陣に追い込まれた、かの有名なウォーターゲート事件の端緒ともなった、ベトナム戦争の報告書であるマクナマラ文書を巡る、報道機関の裏側を追った実話映画。
先代のコネを守り、株主や投資家の意見を優先させるのか、それとも、国益に資する真の報道機関としての役割を全うするのか、究極の選択を迫られるワシントンポスト紙の女社長を演じたのは、世界が認めるボス役女優の筆頭、メリル・ストリープ。
本作は、プラダとかサッチャーとかとは違って、気の強さ一辺倒というわけでもなく、どちらかというと、経営素人で頼りなく少し頭の弱い?(でもどこかにエネルギーを秘めている)女社長というとても複雑な役どころを表情たっぷりに演じ抜いていたのがかなり見応えがありました。
公文書改ざんでワイドショーが持ちきりになる今の日本を重ねて見る人も多かったでしょうし、アメリカではニクソンの悪い部分とトランプの悪い部分はよく比較されて語られていますし、世界の政治情勢ともシンクロしている(というか明らかにそれを狙って作られている)そんな極めてタイムリーな映画でもありました。