転生Moljiana

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書の転生Moljianaのレビュー・感想・評価

4.2
 今までスピルバーグ監督の作品は『ジョーズ』を除いてあんまりハマってない、ストーリーに魂が入っていない感じが苦手でしたが、これは最高に素晴らしかったですね!

 舞台は1971年、ベトナム戦争が泥沼化していた中、NYタイムズがのペンタゴン・ペーパーズの存在を暴露、米国政府から圧力を受ける事に。そんな中、ライバル紙のワシントン・ポスト社の女社長・キャサリンと敏腕記者・ベンが追従出来るのかを綴った物語という事ですが、特に派手な演出も無ければ驚きのない脚本でよくもまあここまで躍動感のある作品を作れたなと思います。ハリウッド的分業体制は作品によっては纏まりが感じられないケースがある中、製作スタッフやキャストを全員スピルバーグの関係者で固めた事が非常にプラスに働いた気がします。物語もスクープを手に入れたNYタイムズではなくそれに追従したワシントン・ポストにフォーカスを当てる事で「報道の意義=権力への対抗」というメッセージを強調出来たのではと思いました、スクープ至上主義になるとそれこそ文春砲になりますし。

 因みに一番好きなシーンは中盤の電話のシーン。人が電話をしているだけなのに彼処までの緊張感が出せる物なのか……! メリル・ストリープの演技を観るのは何気に初めてでしたが、女性の社会進出がまだ乏しく暗中模索な中、経営者として力強く振る舞う姿には感動しました、エンド・クレジットのノーラ・エフロンへの追悼文と共に70年代と女性の台頭を結びつけた傑作でした。

<2018年ベスト6位>
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