"好きにしていいわ…私が支えてあげる…"
夫に先立たれ病院で遺体処理の仕事をするシングル・マザーのグロリア…
"再婚するつもりはないの…ただ会って食事をするだけ"…出会い系サイトで知り合ったのは、ミシェル…それは運命の出会いだった…
"依存魔"を観に行くと、ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督が描く"ベルギーの闇三部作"の第二章である本作も続けて上映すると…こりゃあ、観ないといかんでしょう…急遽の連続鑑賞…"ハネムーン・キラーズ"としても映画化された実在の殺人カップルをモデルとして製作された本作でしたが、私はこちらの方が好みでした。
第二章で描かれたのは…"嫉妬"…
運命の愛に出会ったグロリアは、その深い愛故に狂気に落ちていく…
愛したミシェルが結婚詐欺師と知って尚、支えようとするも、ミシェルが他の女と寝ることに身体も精神も耐えられず、それこそ地団駄を踏みもがき苦しみ、残忍な犯行を犯していくグロリア…ミシェルを想い、まさかの笑顔でミュージカル風に歌う姿には背筋が冷たくなります…怖い怖い…
何の感情も見出せず、普通のおばさん然としたオープニングの姿から、"運命の人"ミシェルに出会ってからのグロリアがどんどん妖艶さを深め美しい容姿に変わりつつ、その狂気度も上がってきます。
グロリアを演じたロラ・ドゥエニャスの演技力の高さに唸らされました。
そんなにグロくもエロくもないんですが、グロリアの内に秘めた狂気と凶暴性からか、ついつい目を背けてしまうシーンがいくつもあります。
ラストのグロリアとミシェルの対照的な反応から想像すると、カモだと思って近づいた熟女に"運命の人"と勝手に思い込まれ、身の破滅を招いてしまった詐欺師の悲劇とも捉えられるんですが…
こうなると、三部作の第一章である"変態村"を鑑賞しないと収まりがつかなくなってしまいました…