春とヒコーキ土岡哲朗

パレードの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

パレード(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

自分の生活の真実味から逃げる若者たち。

「同じ時間をグルグル回っているんじゃないか」という小出の発言通り、生産性の無い生活から脱出することを拒んでいる。そういう同じ感覚の人間の集まりだから、林の言葉通り「上辺だけ」の関係にしておく。
へらへらしながら現実を避け続けるも、友の死に後々涙を流す小出。柔らかい雰囲気のままに、ダラダラと続いた交際を絶つ貫地谷。大人なようで、一番みんなと馴れ合おうとする香里奈。暴走なようで、ある種真理を見抜いている林。しっかりした様で、最も問題を抱えていた藤原。そして、その藤原の精神的なぐらつきに対し、全く動じない他の四人。日常を守るため、悪事を気にしないという、藤原以上にやばい状態。
藤原の発言、「それぞれの知っている相手の姿は、それぞれの人しか知らない。みんなが知っているそいつなんて存在しない」。人の存在というのは、その本人と、関わる人間一人ひとりとの間に個別に存在する。だから人の本質など把握できるはずがない。「だからと言って、諦めて益々不干渉になるのはダメだよ」と言う警鐘なのか、それとも「だから頑張っても無理だ」という事実を突き付けているのか…。