何回読んでも、何回鑑賞しても、この作品に【こわい】という表現が抜けることはないと思う。事件がとか、人物がとかではなく作品そのものが気持ち悪い。
人間のリアルを映像と演者の力で、淡々とそしてベッタリしたものが何重にも塗り重ねられている油絵のような時間
じっとり。
原作が元々大好きで、もうセリフを覚えるくらい読み込んでいた。各々の人間らしい感情と相反する冷酷さもまた人間らしい。映像化されたことでより一層の虚無感を感じざるを得ない。
時間というものは直線ではなく、その両端が結ばれた輪っかのようなものに思えてきてループしている気がする。原作では良介がぽろっと発した言葉だが、映画でさりげなくメリーゴーランドが使われていて、原作オタクとしてはニヤッとしてしまう。
この作品がやっぱり大好き。原作にも自分の価値観に大きく触れた大切な大切な、何箇所も忘れたくないフレーズが沢山ある。
正常な感覚の人が観ると普通にヒューマンホラーです、そして小出恵介という役者が戻ってきてほしい。説に願います。
最後の、直輝を見つめる4人の顔が忘れられない。