たむランボー怒りの脱出

暴動島根刑務所のたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

暴動島根刑務所(1975年製作の映画)
4.5
『網走番外地』のクライマックス、走行する列車の車輪で手錠切断をやってのけるあのシーンがこの映画のクライマックスでも繰り広げられるのだが、『網走番外地』においては一面が雪に覆われた平原が舞台とされていたのに対して、この映画では大きな河を見下ろせる橋の上でそれが演じられるようにという中島貞夫の演出が冴え渡っている。手錠が切断された瞬間に河へ落下する松方弘樹。橋の上に残った北大路欣也と交わされる視線、その高低差がなんとも感動的といわざるをえないし、これは最近の個人的な記憶として残る『ブラインド・フューリー』のラストシーンとも繋がってしまう。
あと、ここで北大路欣也ではなく松方弘樹が落ちなければならなかったのは、映画中盤で窓から飛び降りて死亡した田中邦衛への無意識の追悼だとしか思えなくて、ここでも「中島貞夫!」となった。