レオンカラックスといえば、1991年の『ポンヌフの恋人』
『ポンヌフの恋人』といえば、今は亡き大阪三越劇場で観た思い出。
大阪三越劇場といえば、東京有楽町にあったシネシャンテと同系列のミニシアター系作品を上映してくれる貴重な映画館だった。
アンリーの『恋人たちの食卓』や、
パトリスルコントの『髪結いの亭主』も三越劇場で観た。
全部純文学の気高き香りがした。
もう一つの私のミニシアターは、テアトル梅田。
スパイクリーの『ドゥザライトシング』や、
コーエン兄弟の『バートンフィンク』、
望月峯太郎の『鮫肌男と桃尻女』をここで
観た。
全部、メジャーに反旗を翻す反抗のメッセージに酔った。
全てに共通していたのは、私にとっての冬の時代。東京で夢破れ、大阪に帰って働く意欲を失ってひとり寂しく観た映画たち。
でも、自由時間はたくさんあるから、上映終了後ギリギリまで席で余韻に浸り、場末の酒場で観た映画を頭の中で反芻しながらくだをまくことが許された。
映画と映画館だけは、いくらでも孤独な私と
付き合ってくれた。
そんな私も結婚して父となった。
やはり父となったレオンカラックスが、「俺の映画を観ろ!息すらせずに観ろ!」とアネットを観る観客に煽る。
観た。松田優作じゃないけど、
『なんじゃこりゃあああー』と叫びつつ圧倒される。
でも、映画館じゃない。自宅で、リモコンでストップかけられる環境で。
おしっこ休憩とりながら、、、。
入ってきたLINEのメッセージをチェックしながら。
そら、あかん。大切な監督の映画はやっぱり映画館で観なあかんわ。
ごめんなさい、レオンカラックス。
そして、三越劇場も、テアトル梅田も今はもう無い。