【これがホンモノのポケモンバトルだ!】
新文芸坐でクレール・ドゥニ特集が組まれてました。今回なんと『死んだってへっちゃらさ』が公開された。これは私の聖書『死ぬまでに観たい映画1001本』に収録されているものの、日本では未DVDか、アマゾンで輸入DVDを買おうにも取り扱ってない幻の映画だ。
内容も、クレール・ドゥニ監督がモンテ・ヘルマンの『コックファイター』に影響されて作ったという闘鶏映画。これは面白くないわけがない。
ってことで、自主プレミアムフライデーを発動して観てきました。
冒頭から面白い。「人は国籍、宗教、信条、イデオロギー関係なく誰でも可能性を持っている」というテロップから始まると、一人の黒人が全く同じことを語る。独特な反復におっ!と引き込まれる。そしてタイトルの『死んだってへっちゃらさ(S'en fout la mort)』の意味に驚いた。ゾン・フ・ラ・モーかっこいい!
そして、西インド諸島マルティニーク出身の黒人とアフリカベナン出身の黒人がフランスで裕福になる夢を抱き闘鶏ギャンブルに明け暮れる様子が描かれる。
映画評論家大寺さんの講義によると、日本人からは同じ黒人に見えても、黒人同士お互いを比べあっている。フランスの植民地ということに誇りをもっているマルティニークの黒人像が象徴的だということ。それを踏まえるとNetflixにあがっているナイジェリア映画『オクラを買いに行かせたら』に近い洞察力がそこにある。
一見シンプルな闘鶏映画。それこそ、バトルに夢中になり鶏に愛情を抱く様子は、ポケモンにおけるサトシとピカチュウの関係に近い。
しかし、よくよく見てみると、フランスに暮らすと誰しもが抱く目線が鋭く怖い黒人が何を考えているかを徹底して掘り下げた作品と言えるだろう。
神話的で深い深い闇に足を突っ込んだような作品でした。
P.S.えっ動物に危害を加えていない?うそだー