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1945年の精神のKSのレビュー・感想・評価

1945年の精神(2013年製作の映画)
4.7
右と左ではなく、上と下の対立。

1945年、戦争に勝利した直後のイギリスで、なぜ当時、野党であった労働党が過半数を獲得し勝利したのかに迫ったドキュメンタリー。

新自由主義によって表れた格差という社会問題は、いまに始まった事ではなかったを示している。同じようなこの状況からイギリスの労働者たちはどう脱却したのかが描かれている。さらにイギリスにおける労働者階級という言葉の意味が理解できる一本。フットボールやロックンロールという言葉の背景にある労働者としての暮らしとの繋がり、それが社会インフラであるコミュニティとも繋がっていくんだろうと思った。


第一次世界大戦でのイギリス兵士を捉えたドキュメンタリー映画『彼らは生きていた』で“居場所がなかったから戦争に行ったが、戻ってからも居場所は無かった。”という主旨の発言があったが、この発言をした彼のこういった気持ちが、第二次世界大戦後の選挙で野党であった労働党が圧勝するという出来事に繋がったんだと思った。

ジェネレーション(世代)という言葉があるが、これは年齢や性別に関係なく同じ時間を共有している人々のことをいうのだろう、例えばこの選挙で労働党に投票した人々のように。〇〇世代とステレオタイプを押し付けるための言葉でないんだなと思った。ジェネレーションという言葉は、気をつけて使わないと、分断装置として使われる可能性がある。

この映画を見て一番意識させられたのは、歴史を知らないと議論すらできないという事だろう。なぜなら、いまの形が出来上がった背景が理解できていないのだから。


170分におよぶ2枚目のDVDには、いま都知事選に出馬している宇都宮健児と山本太郎などがコメントを寄せているのは、彼らの出馬が偶然ではないのだろうなと、3年前のコメントを聞いて思った。
あと安部支持が強いという言及が何度もされているが、データ的に見ると、50%が投票しておらず、実質安部支持は20%しかいない事を踏まえて付属DVDを見る事をオススメします。
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