半兵衛

ズームアップ ビニール本の女の半兵衛のレビュー・感想・評価

3.5
日活ロマンポルノはエロが段取り臭い印象がある(そりゃ本番ではないのだからしょうがないのだけれど)のだが、AV並みにここまで生々しいエロスを醸し出してしまう菅野隆監督って実は飛んでもない人ではないのだろうか。男を興奮させるという第一目的に忠実で、他の監督みたいに変な笑いやドラマに向かうことなくひたすら行為を撮っていくその熱心さは職人監督というよりフェチストみたい。

そこに物語よりも人を驚かすことやシチュエーションを好む桂千穂の脚本が加わり、冒頭の謎めいた女の行動や様々な伏線がストーリーに結び付くのではなく、それらがすべて性行為に結び付くという純粋に映画のエロスを求める監督と脚本だからこそ出来た作品に。そしてラストの二人の行為が、主人公を通して至福の瞬間として観客にもたらされることに。

あと女性が抱かれた男を求めて執着するという男女の立場が逆転しているポルノ映画になっている点にも注目。ヒロインを演じる麻吹淳子によるラストの愉悦を楽しんでいるような顔がこの作品の全てを物語っている。

劇中登場するジョーズやミッ◯ーのシャツのデザインが時代を感じさせる。
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