イチロヲ

トルコ110番 悶絶くらげのイチロヲのレビュー・感想・評価

トルコ110番 悶絶くらげ(1978年製作の映画)
4.0
大阪から駆け落ちしてきた貧乏な十代カップル(原悦子&藤野弘)が、資金集めのために短期のトルコ勤めを決意する。性産業の不文律に翻弄させられる人間の姿を追っている、日活ロマンポルノ。

普通の女の子からトルコ嬢へと変身を遂げた原悦子と、業界に新人を送り込んでいる斡旋業者の男(星野暁一)。いわゆる「性を売るための商品になった娘」と「商品を流通させる男」のドラマが双方向から繰り広げられる。

本編内容は、原悦子の彼氏、斡旋業者の男、斡旋業者のボス(益富信孝)が三つ巴となるドラマ。それぞれが性産業の中で蠢いている駒でしかないため、善悪の概念が存在していない。心理描写が流れるように進むので、ドラマの訴求力は良好。

脇を固める布陣が豪華であり、トルコ嬢のリーダー格を演じる片桐夕子と、斡旋行為を受ける田舎娘役の吉沢由起が印象的。なお、客人の童貞くんを演じているのは、後の大物声優・千葉繁。敗北と旅立ちを織り込ませている、ロマンポルノの王道的作品。
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