KEKEKE

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2のKEKEKEのレビュー・感想・評価

2.0
- ここまで1ヶ月くらいかけてじっくりシリーズ8作を観てきて ついに終わってしまったのだけど、意外と興奮や感傷などは特になく、代わりに情のような漠漠とした何かがどっと押し寄せてきている
- 良かった、ありがとうと言いたい
- 10年間ひとつのシリーズを、しかも幼少期から演じ続けた俳優陣は、たとえ巨万の富と名声を手に入れたとしても多くの犠牲を払ってきただろうし、所謂普通の人生なんて選べなかったに違いない
- 後半に進むにつれて子供向けから成人でも楽しめるものへ物語が変化していったこともあり、監督/プロデューサー/俳優たちの偉業がもたらすバイアスと、映画としての完成度、原作の持つ本来の力を別々に考えることが難しくなってきていた
- シリーズでは時折、俳優たちが一緒に過ごした「時間」としか言いようのない何かが画面を圧倒したり、暗く地味な映像をストーリーテリングで盛り上げたり、ハリーポッターを成立させようとした数多の人間による相互補完的な呼応が映画を支える場面があったように感じた
- 原作を知らないので想像するしかないが、本当はもっと時間が必要だったんだろう、1冊で1作ではなくて、映画化にあたりもっと大胆にエディットするしか道はなかったのかもしれない
- 個人的に秘密の部屋とアズカバンと不死鳥の騎士団は、茶番を1時間半丸ごとカットして、そこにおそらく原作から端折られているだろうキャラクターたちの深掘りエピソードを差し込んだ方がいいんじゃないかと思ってる、この作品の真髄はキャラクターの瑞々しさなんだから

- こんなに長い時間ポッターを見続けているのに、何故か感情移入できない不思議な主人公だった
- パート2のはなしだけで言うと、影絵は世界観を維持しつつダイジェスト的に物語れる発明だと思ったけど、中盤以降ヴォルデモートが直接脳内に語りかけるシーンが長すぎて映画として破綻していた
- 総じて原作を圧縮することに全力を注いでいるから、終わらせるための映画って感じであまり乗れなかった

- 王道ファンタジーを謳っているけど結構変な作品だったとも思う
- 二項対立で物語をドライブしておきながら、人間の内なる多面性にフォーカスしたりする(ハリー、ハリー父、マルフォイ、ダンブルドア、セブルス)
- 善悪の複雑さを描くかと思えば単純な勧善懲悪を多用する
- 死についての物語なのにダイジェストで人を殺す
- あとは単純にセブルスがなぜ半純血を自称するのか、ハーマイオニーのあまりに突飛に思える冒頭のシーンとか、ダズリーたちフェードアウトしてったのってマジでなんだったんだとか映画だけでは解けない謎が多い
- そこらへんの泥臭さ含めて作品の魅力なのかもしれない
- でもスラグホーンとマッドアイムーディが好きになった、それだけでこの映画を見てよかったと思える、キャラクターの力って本当にすごい
- もし1〜4をマイク、5〜8をキュアロンが撮ってたらどうなっただろうかと思う
- あと原作シリーズの途中で映画シリーズが開始したことが、物語に与えた影響って少なからずあると思うんだけど、それはたとえばどういうところなんだろう
- この10年間のプロジェクトを全うした全てのスタッフを、ビジネスマンとして尊敬しています
KEKEKE

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