Jeffrey

ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たちのJeffreyのレビュー・感想・評価

2.8
「ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち」

冒頭、ここは何処かの閑静な住宅街。ベランダに大麻を栽培する女、向かいの警察官、強姦、ロックバンド、ゲイのコンテスト、スキャンダル、マゾヒスト。今、私を犯したあんたの旦那を私が懲らしめるわ…本作はペドロ・アルモドバル監督の幻のデビュー作として国内で初BD化され、この度BDを購入して初鑑賞したが面白い。今やスペイン映画界だけではなく世界的巨匠となった彼のタブーな無き映像表現と圧倒的な独創性に満ちたこの作品は他に類を見ない演出の多さだ。

さて、物語は自宅の窓際で大麻を栽培していたペピは近所の警官に見つかってしまうが、口外しないことを理由に強姦されてしまう。復讐のため、友人のボンに協力してもらい警官の妻であるルシを痛ぶり辱める。極度のマゾヒストである彼女の性癖が意外な方向に動き3人は行動を共にするようになる。そして、女性差別主義者の夫(警官)へと復讐が始まる…と簡単に説明するとこんな感じでかなりR18の映画。

本作は冒頭からカラフルな絵が散乱する。カラフルな絵が紹介されLittle NellのDo The Swimがほぼまるまる1曲流される中、とある女性の自宅が映される。そこに1人の警官らしき男性がやってくる。その女の名前はペピ。彼女は自宅で大麻を栽培していることが向かいの窓から観察していた男が脅しの様に彼女に近づいていく。彼女はそんな事より私のアソコはどう思う?と言い、男は唾を飲み、良さそうな雰囲気を醸し出して彼女を半ば強引に強姦する。

続いて、ピンクのスカジャンを着たペピが友人のボンに会いにロックバンドが練習しているスタジオにやってくる。そこで2人は再開する。そして大麻との見返りに復讐に手を貸してくれと言って交渉が成立する(ロックバンドの連中たちが)。そして時は真夜中。カメラは真夜中の歩道を数人の男女が歌を歌いながら歩く描写を捉える。そして1人の男性をボコボコにリンチする(強姦した警察官と見られる男)。


その光景を遠くから眺めて喜ぶペピ。連中はボコボコにしてから走って逃げて、地面に倒れた男は血まみれになり、大量の花が落っこちている。そして連中はペピの自宅に来て大麻(マリファナ)を植木鉢ごとみんなに差し上げる。ところが彼女は翌日、彼がどうなっているか確認するべく彼の自宅の路上で待ち伏せしていたところ、彼が全く怪我をしていないことに気づく。実は人違いだったのである…リンチされた男は別人。

そして彼女は真相を探るべく、彼の奥さんに近づくために、わざと外で彼女に触れて、そのセーター素敵ねとお世辞を言って彼女が自分で編んだのと言い、教えてあげるとの事でペピは彼女(警官の妻であり名前はルシ)編み物を教わる。カメラは2人が編み物をし、注意をしながらやっているシーンを映す。

そこの家に親友のボンがやってきて、妻にとんでもないことをする。(ド変態プレイ、スカトロ系)。続いて、奥さんは自宅に帰り夫と話し合う(夫はどうやら妻が自立するような女性になるのを嫌っているようだ)。そしてカットはボンへ。そして残りのペピとルシを含む3人はパーティーに行く。そこでは様々な破廉恥なコンテストが行われている。

そして物語はどんどん過激になり、3人の女性と復讐をされる男の物語が帰結へと向かい始めていく…。


この監督は自分のスタイルをデビュー作からブレずに現在まで取り続けているんだなと思わされた。どういう事かと言うと、この作品も既にドラックやゲイ、マゾヒストなど彼の作風に出てくる1つのシンボリックなシーンが出てくる。とりあえず男のアソコの長さを競うコンテストみたいなのを見せたり、女の顔面に尿ぶっかけたり、これじゃ日本公開は無理だろうなぁと納得。

とにもかくにも犯罪者やマイノリティーしかほとんど出てこない作品も中々レアである。

Little NellのDo The Swimって曲がアップテンポですごくよかった。
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