こたつむり

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔〈スペシャル・エクステンデッド・エディション〉のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.4
♪ You came here 城壁に
  Can’t go back 樹の幹に
  No way out 息遣い
  Stay with me 感じるよ

ファンタジーで大切なのは薄汚れた感じ。
何しろ、背景にあるのは中世の騎士や魔法ですからね。青空の下で風になびく緑とか、いつでも朗らかな看板娘とゆかいな仲間たち…なんて、それこそ幻想(ファンタジー)なのです。

その辺り、本作は見事でした。
魔法だって呪文を詠唱しただけで火の玉が出てくるとか、体力が回復するとか、幻獣が召喚されるとか、そんな御伽噺な展開はありません。むしろ「魔法使いはもっと働け」と言いたくなる展開なのです(というか、騎士団と一緒に斬りこむ魔法使いって…)。

また、前作は直線でしたが、本作は拡散型。
様々な場所で様々な人たちが物語を繰り広げるので、世界観にググっと深みが出ています(というか、固有名詞が多いので地図とか地図とか地図が欲しくなるレベルです。そもそもローハンってどこよ)。

そして、中盤以降の盛り上がりは見事な限り。
絶望感が漂う中で抗うのはいつの時代でも胸を熱くします(というか、中盤までがダラダラし過ぎ…というか、このシリーズにロマンスは不要と思うのは僕だけでしょうか。前作はかなり硬派な雰囲気だったのに…)。

ただねえ。
やっぱりねえ。
長すぎるんですよねえ。僕がケチンボ精神を発揮して「少しでも長いほうを楽しみたい」なんて選んだのが悪いんですけどね。海より深く反省します。

やはり、映画には適度な長さがありますね。
基本は120分。欲を言えば90分。特殊な場合は150分で限界は180分。それを超えると集中力が持ちません。一般的に人間の集中力は長くて90分とか言いますからね。そりゃあ眠くなっても仕方ないのです。

まあ、そんなわけで。
面白いけど長い。長いけど面白い。
それが最初の感想になってしまうシリーズ。あと、地味に似ている固有名詞が混乱を招きますね。サルマンとサウロン。どちらも悪役ですが、どちらもサ行で始まり最後にンがつく名前なのでスルッと頭に入ってこないのです。

勿論、僕の脳味噌の仕様の問題ですけどね。
ゴラム、ゴラム。
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