前髪メガネ

アイスと雨音の前髪メガネのレビュー・感想・評価

アイスと雨音(2017年製作の映画)
4.4
74分のワンカットに演劇も映画も収めた作品。

ワンカット撮影ってだけでも緊張感や技量が求められるのに、そこに劇中演劇の役と映画での所謂素の演劇を使い分けなくてはならないまた難しい課題を載せているのに引き込まれたのは演者さんの、演技力なんだろうなぁ。

映画から演劇に切り替わると視覚的にわかりやすくアスペクトがレターボックスになるので混乱はしないけど、あえて役者名と劇中役の名前を本人の名前にした事はいやらしく思ったが名前が沢山出ても観づらくなる。それで視覚効果で演劇と映画の境界線を引いたのでしょう。

今作では森田想さんの演技というか表情に引き込まれた。作中劇での役柄がドンドンぶっ飛んでいく様が凄いからこそ際立つし目が離せなくなる。

通常映画でのBGMは編集過程で追加されて音の強弱もその際の設定になる所を本作ではその現場で生で歌って熱を吹き込んでいるその手法がまたシュールかつ虚構と現実の境目を曖昧にしていてBGM以上の役割を果たしているのも面白い。
音の強弱のつけ方もカメラとの距離感で付けるために、あるシーンではホントに遠くで歌っているので入り込んでしまった関係の無い音の様になってしまっていて失笑しました。
歌い方に熱を乗せたヒップホップなのでそこがまた活きてくるのもまた面白い。
そんな虚構と現実のどちらでもない存在のMOROHAの存在だからこそできるメタ的発言も引き立って印象深い。

個人的にMOROHAのMCアフロさんの声はスマホGalaxyのCMや仮面ライダーウォズのベルトの音声の印象が強かっただけにこんな人だったのか!ってなり、曲を聴いてCDを聴いてみたくなった。変わった形のヒップホップ。


全体的にとても面白かったし、作中の戯曲も観てみたい。
前髪メガネ

前髪メガネ