湯っ子

わたしが発芽する日の湯っ子のレビュー・感想・評価

わたしが発芽する日(2016年製作の映画)
3.8
上質な短編小説みたい。でも小説はもっと主人公に近いから、切なさとか寂しさにに寄ってしまう気がする。映像のいいところは、それを引いて見られるから、うずくまる彼女のそばにいる人をちゃんと確認できる。そして私たち観客は、きゅうっと胸をつかまれながらも、ふわ〜っとあったかい気持ちになれるんだ。
短編だから上手く収めた感はもちろんあるものの、脚本が良いのだなと感じる。「ふつうがわからない」妹ちゃん、とても良い。クレジットを見ると、ちゃんと取材しているのが好感持てる。こういう子を「ピュアな天使」に押し込めないところでギリ踏ん張ってる。お姉ちゃんにも説得力ある。お父さんがちびまる子ちゃんの父ひろしみたいなのも良い味。
豆苗は私もキッチンでよく育ててる。ロマネスクが出てくるところにはニヤリ。ブロッコリーの仲間の野菜なんだけど、とても不思議で神秘的な形をしてる。植物の好きなあの子もきっと好きなんだね。
ひとつ、どうでもいい不満。「石投げ」ではなくて「石切り」または「水切り」では…?そして、上から投げても石は跳ねないよ。平らな石をサイドスローでしょ、ってことかな。
湯っ子

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