イチロヲ

痴漢電車 マン淫夢ごこちのイチロヲのレビュー・感想・評価

痴漢電車 マン淫夢ごこち(2016年製作の映画)
4.0
行きずりのセックスに依存している内向的な女性(竹内真琴)が、素性が分からない男の痴漢行為に性的快楽を見いだしていく。女性の幸福論と痴漢電車のモチーフを掛け合わせている、オーピー配給のピンク映画。R-15版「方舟の女たち」。

「幸せを探そうとする女性≒ヤリマンの女性≒男性にとっての女神」という方程式を利用して、性愛ドラマを紡ぎ出している作品。同じ車両内で痴漢被害を受けている3名の女性の立場を、個別に描いていく構成になっている。

断れない性格の図書館司書をメインヒロインに据えて、玉の輿を狙う銀行員(希島あいの)と、痴漢魔の逮捕を目指す婦人警官(松井理子)のドラマが同時進行する。男性陣では、(好きの裏返しとして)婦人警官に罵詈雑言を浴びせる、ツンデレ警部が笑える。

人生に悲嘆した中年サラリーマンが「童貞帰り」するシークエンスが印象鮮烈であり、「生きるための活力としてのセックス」がストレートに伝わってくる。そして、「自分なりの女神」を幻視する瞬間の官能性にシンパシーを禁じ得ない。
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