haru

心と体とのharuのレビュー・感想・評価

心と体と(2017年製作の映画)
3.5
今夜、夢で会いましょう。

食肉処理場で働くエンドレは、愛想はないが、それなりに仕事をこなす初老のオッサン。ある日産休に入ったスタッフの代わりにやってきた金髪美女マーリアを気遣い、ランチタイムで話しかけるも、ザックリ切り捨てられる。ところがあることがきっかけで、二人は毎晩同じ夢を見ていることが発覚し、急接近…!と思いきや、道のりは険しかった。

「私の20世紀」のイルディコー・エニェディのだいぶ変わったラブストーリー。
ハンディキャップを持った二人のなかなか進まぬ恋模様。エンドレは片腕に障害があり、マーリアは恐らく自閉症。特にマーリアの空気読めない発言や、噛み合わない会話が、二人にとって大きな障害となりますが、二人は毎晩夢の中で鹿になり、言葉を交わさず共に過ごすことで、分かり合っていきます。
が、現実が追いつかない。夢では良い感じなのに、現実ではエンドレを拒絶するマーリア。しかし帰宅したマーリアは、その日のエンドレとの会話を復習し、毎日一人反省会をしていたのである。マーリアは失敗するたびにカウンセラーに相談し、世の恋人たちを観察し、適宜行動を修正。めっちゃ頑張ってる…!なのに無表情だからなかなかエンドレに伝わらないのがもどかしい!
二人が同じ夢を見ていたのは、二人の悩みが同じだから。二人とも現実では心と体に障害を抱えていて人間関係が上手く構築できない。けど本当は誰かと一緒にいたいのです。冒頭のマーリアが日陰に入るシーンや、二人の部屋の色、工場で血抜きをされる牛とラストのマーリアなど、二人のキャラクターや心情が丁寧に描かれていましたが、少々丁寧すぎる感じも。「私の20世紀」くらいボカしてくれても良かったかもなと思いました。
haru

haru