MossMiLL

心と体とのMossMiLLのレビュー・感想・評価

心と体と(2017年製作の映画)
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ピュア……という言葉ではない。もっと人間全般に対して枯れてて諦めてて、通じ合えないとわかりつつも相手を求める大人の映画だと思う。食肉加工場は平気だったのに手首切るシーンまじでゾワゾワゾワッてしてだめだ……血がピュッピュッて出るのもウウウッてなった。カウンセラーが必要だと医師に言われるような状態。毀れたまま欠けたまま、損なわれたままつながり合う。最後恋の曲が途中で止まっちゃったの意味あると思うんだよな。正直最後もこの二人うまくやってけんのかな?って不安が拭えないまま、すれ違いを暗示したまま終わった気がした。心と体が剥がれていて、破綻していて、その乖離具合と加工場の人工感が心地よい。ある種の調和がある。その均衡が崩れる時、傷つきながら通じ合う。携帯が真っ赤。赤、が生や血の象徴で、あの屠殺場や社会という場で殺され続ける自己と、携帯電話やリストカットで繋がって溢れだす赤、生。鹿、という生き物の言葉をもたない愛こそが人としていびつなこの二人にも投射される。明確なハッピーエンド、という結末でないのがこの映画の大人らしさであり、人間という種の苦さなのかも。『ピアニスト』とヒロインの在り方が似ている気がした。
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