ウツロ

スキン~あなたに触らせて~のウツロのレビュー・感想・評価

1.0
うーむ…。

何故「顔に口の代わりに肛門がついている女の子」という設定にしなければならないのか理解しかねる。そんな障害はないからだ。他の登場人物は実在する障害ばかりで病名まで出しているのに何故あの子だけ口をアヌスにしたのか。それだけならまだしも「バースデーケーキの蝋燭を放屁で消す」「レイプを試みた男のペニスをお尻にある口で噛みちぎる」なんてシーンまで撮る必要があるのかは甚だ疑問だ。テーマとは無関係な悪趣味性が出すぎている。
ほぼすべての場面にピンクとパープルが散りばめられ、色彩的には綺麗な映画なのだが、一部表現があまりに露悪的に見えるせいでテーマを素直に掴めなかった。コメディのつもりにしては下品が過ぎウィットに欠けるし、障害者の自立や権利を描きたいにしては本筋からぶれすぎている。このテーマで撮るなら入れるべきでないと感じるギャグシーンが多数あり少し不快だった。ちなみに私はいわゆる不謹慎厨ではないし、そういう意味で不快と書いたのではないです。

顔が半分溶けたあの女性は賢さと強さがあったから自分の人生を選びとることができた(できそうだった)が、他の人物は必ずしもそうではない。小人症の女性は本意でない仕事を父親に強制され、子供を望んでも阻まれる、その解決は本当に父親を窓から投げることだったんだろうか?ある男にとっての希望は降ってきたトランクの金で顔面の火傷を治すこと?口とお尻が入れ替わっていても奇形以外愛せない男に選ばれればそれで幸せ?目のない女性の眼窩の宝石は何のメタファー?肥満の女性が抱える問題とは何?まさか肥満そのもの?説明が足りない。こっちに問いを投げる前にまずされるべき説明が。

何が撮りたかったのかわからない映画という印象。一応各人物に通底するテーマは(映画からではなく現実に照らして)読み取れるが、あまりに荒削りすぎる。
ウツロ

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